活動報告・レポート
2021年12月27日(月)
観光を考える

観光協会を始めとする今秋の稚内市の観光行政の視察に参加したメンバーが集まり、年末の交流会を行いました。観光は常に視点を変える必要がありますから、一緒に稚内市を視察したことは意味があります。和歌山市の観光に生かす視点も生まれるからです。例えば稚内市では樺太と第二次世界大戦のときのソ連侵攻の歴史を学べる記念館がありますし、その歴史を語れる人がいます。学校教育ではその歴史を教えているので国境や領土を意識していることを聞かせてもらいました。また視察メンバーは「氷雪の門」に記されている歴史を忘れないための記念碑や物語を大切にしていることも確認しています。

和歌山市をその視点でみると、歴史を学べる歴史館や偉人の顕彰館などはありませんし、故郷の偉人を学ぶ場所がないことを痛感しています。また観光に関わる人で和歌山市の近代史を語れる人は少ないと思いますし、案内する場所も多くはありません。

稚内市の観光と教育を比較することで和歌山市の課題を感じることができるので、今日のように話し合うことができるのです。そこから派生して都市のあり方の議論を交わすことにつながり、例えば高齢社会に備えることや観光面での路面電車の復活や、楽しくて賑わいのあるまちづくりの意見交換につながりました。

意見交換をしたのは今日、和歌山城ホール前を歩いたことに始まっています。驚くことにこの周辺の歩道を歩く人がいなかったのです。今日の寒さと風の冷たさから考えると、歩く人がいないのは仕方ないことです。しかし鳴り物入りで完成した和歌山城ホール周辺に人が歩いていないことは残念なことです。賑わいの創出を求めたまちづくりの拠点ですから、歩く人がいないことは残念なことには変わりありません。

イベントホールですから個展やイベントがないときは人が出入りしないことは分かっていたことです。ですからイベントのない日にも人で賑わうようなアイデアが必要だったのです。現状を見る限りにおいて、賑わい創出につながっていないように感じます。昼間、一緒に歩いた方は「ああぁ、僕の卒業した中学校がなくなっているのは仕方ないけれど、賑わいがないことは寂しいと思います。他に有効活用する方法はなかったのでしょうか」と話してくれたのです。

まちづくりの成果を測る方法は、人通りのデータと共に皆さんの感覚が大事なことです。つまり「中学校はなくなったけれど良いまちになった」だとか「中心地の賑わい創出が期待できる」「観光につながる」など思ってもらうことが必要です。

ところが何でこうなっているのか理解できないような感覚を持たれることは、結果が伴っていないと考えるのが通常です。

意見交換の中で出されたアイデアのひとつを紹介します。

「和歌山城内の西の丸広場などの空間が活用されていないので、管理を緩めて誰でも使えるようにすれば良いと思います。飲食店を出店することや屋外コンサートなどにも自由に使ってもらえば良いのです。人が集まって楽しいと感じさせてくれる場所には人が寄ってきます。行政は場所の提供を行い民間の感覚で活用してもらうことも考えるべきです。和歌山城は和歌山市で最も良い場所のひとつですから、閑散とさせておくのではなくて活用することを考えて欲しいと思います。誰もいない広場は殺風景であり資源を活用していないと思われます」というものです。

一等地にある空間を活用することは賑わい創出のために必要なことです。そして規制を緩めて民間に活用してもらうことで行政が思いつかないアイデアが出てきそうです。

また中学生の休み期間中に「和歌山城周辺の賑わいを創出するためのアイデアを考えてください。よいアイデアは採用します」と課題を課すなら、友達や家族と相談してよいアイデアが生まれると思います。観光やまちづくりは行政主導から、民間で考えるように仕向けることも大事なことだと思います。

視察に参加した皆さんと観光を考える機会を持ったことで、観光資源を生かすためのアイデアが浮かびました。また意見交換の機会を持ちたいと考えています。