活動報告・レポート
2021年12月13日(月)
一般質問最終日

県議会一般質問の最終日を迎えて質疑が交わされました。建設委員会で視察を行った福井県の地元木材を活用した公共工事での採用の質疑、そして気候変動やIRに関する質疑が交わされました。四日間の論戦を終えましたが、県政の課題を確認することができました。

今回、質疑を聞いた所感ですが、県としてやるべきことの議論が多かったと思います。これは和歌山県として将来のあるべき姿を具体化させていないことから来ていると思います。温室効果ガス削減に向けた取り組みや再生可能エネルギーの導入など具体策が見えていないので、質疑に至っていないところでしょうか。具体化するに連れて個別の議論が交わせますが、温暖化対策による技術革新と雇用に結びつけることなどの議論はこれからになると思います。

その分、予算化が図れた段階での令和4年の政策に期待しています。

ところで本日、和歌山県のIRの質疑が交わされました。質疑に出なかったのですが、本気で実現させようとするなら必要な取り組みが進んでいないように思います。これは事業計画や資金の件ではなくて地域にとって最低限確認しておくべきことです。

1.和歌山マリーナシティまでのアクセスの問題について

ひとつが道路整備の必要性があります。関西空港や県外から来るお客さんは高速道路を利用すると思います。そこで和歌山インターチェンジまたは和歌山南インターチェンジから和歌山マリーナシティまで高速道路を延伸させる必要性があります。

一般道路にお客さんの車が進入すると、事業者のお客さんの入りの計画値からすると渋滞になります。単純計算で一日5万人のお客さんが来られるのですから、アクセス道路の渋滞を緩和することは絶対です。つまり一般道路に進入させずに直接IR会場まで走らせる専用道路が必要になるということです。

この専用のアクセス道路を完成させないことには、和歌山市と海南市の道路は機能しなくなり、生活に影響が及びます。

ふたつ目が鉄道の延伸の問題です。和歌山市から和歌山マリーナシティに行くために利用する鉄道駅はJR和歌山駅と南海電鉄和歌山市駅があります。どちらからもIR会場までは車で移動する必要があるので、鉄道を利用してもらっても渋滞緩和につながりません。

そのためJRと南海電鉄の両駅から鉄道を延伸させることの必要性を感じます。大阪府のIR構想では会場まで地下鉄を延伸させる計画があります。その事業費は事業者負担となっていますから、和歌山県においても鉄道の延伸について事業者と今から協議をする必要があります。

2.雇用の問題について

一般的にIRで働く従業員さんの給与、または時給は高く設定されます。特殊な技術やサービスが必要となることや、人材を集める必要があるからです。この事業によって資金雇用が発生することは歓迎ですから意義はありません。雇用拡大がIR誘致の目的の一つですから。

しかし給与や時給が和歌山市内や近隣の市町の会社よりも高いとすれば、既に雇用されている人が移動をする恐れがあります。特にパートやアルバイトの場合は自給が高ければ、高い職種に移動することは十分考えられます。その結果、既存の会社や事業所で働く人は勿論のこと、新規採用を募集しても人が集まらないことが考えられます。働く場所が増えることは歓迎ですが、人の移動が主になってしまうなら問題です。

資本主義ですから企業性が良い会社の給与は高くなるのは当たり前なので悪いことではありませんが、小さな事業所やパートやアルバイトに頼っているサービス業の人集めは苦しくなるように思います。働く場所を選ぶ自由は制限できないので難しいことですが、既存の事業者の経営環境に響くことは避けるべきだと思います。

雇用のもうひとつの問題です。専門職の方の給与は高いのですが、その他の職種の給与水準の問題です。つまりカジノ特有の職種、つまりディラーなど専門職は、経験者や専門教育、訓練を受けた人なので、本社または他国から和歌山県にやってくる人です。地元雇用は専門職ではないので、思うような給与を受け取れないこともあり得ると思います。

これらのことから、まちなかが錆びれることやお店が閉まってしまう恐れも考えられるのです。

和歌山県としては勿論、考え備えることになると思いますが、これらの課題に現実的な対応することが必要です。