活動報告・レポート
2021年11月22日(月)
電力の研修会と懇談会
IRの報道

先週金曜日に開催されたIR対策特別委員会のことが話題になりました。県民説明会とパブリックコメントの延期を行うなど、今回示された事業計画の不透明さが発端となり、同委員会で延期の決議を行ったからです。昨日、示された「クレアベストニームベンチャーズ」の和歌山県での事業計画では初期投資額は約4,700億円、目標の来訪者数は年間約1,300万人で従来と変更はありませんでした。

前回の特別委員会では、事業計画内容を向上させることを目的に優先権者に次の3点を求めていました。

  1. 事業者提案書の内容をブラッシュアップするための変更。
  2. 事業実施体制を強化するためのコンソーシアム構成員の追加。
  3. 資金調達の確実性を担保するため、融資確約書の提出。

このことに関してクレアベストは資金調達について「メガバンクとも交渉を進めている」と答えましたが、それを裏付ける資料を提示しなかったことや、日本企業三社とも交渉をしていると答えたもののSPCへの参加を確約できる段階には至っていないことから、事業計画を裏付ける資金計画が見えませんでした。

事業者から「具体的な運営体制が固まるのは来年1月末になる」との回答があり、その事業主体が整うまで本格的な審議はできないと認識せざるを得ませんでした。「それでは事業主体が判明するまで延期すべきである」ことを同特別委員会で決定したものです。

今朝の朝刊で掲載されたことから、本件に関して皆さんから問い合わせや意見をいただくことになりました。今後は事業主体と事業計画、そして資金計画が整ってから、本委員会でさらに審議することになります。

電力の研修会と懇談会

研修会と懇談会で電力会社の課題と取り組みの説明を聞かせてもらいました。研修会のテーマは「『ゼロカーボンビジョン2050』の内容と今後の展望について」「DXに関する取り組みについて」および「今冬の需給見通しと対応について」の三点です。

ゼロカーボンに関しては、デマンドサイドとサプライサイドのゼロカーボン化と水素社会への挑戦が掲げられています。化石燃料からの脱却は新技術と供給コスト面などから困難な挑戦ですが、これまで難局を乗り越えてきたように、今日の話を聞いてきっと克服してくれると確信しています。

また天然ガスの高騰によって今冬の電力コストが上昇していますから、安定供給のためにスポットで天然ガスと原油の調達を用意するなど、見えないところで備えが成されています。参考値ですが、天然ガスを調達するためのリードタイムは1.5カ月から2カ月程度が必要であり、今から調達準備を進めているところです。

このような状況から既に、冬を前にしてJEPXスポット価格は上昇傾向にあります。令和3年度上期の価格は1kWhあたり7.8円でしたが、10月平均価格が13.84円、11月平均が17.75円と上昇しています。11月後半には20円から最大30円まで価格が上昇したことから、今冬の電力コストは高止まりになること、また需要に対応する必要な電力量が不足することが懸案です。

安定供給と価格の安定のための取り組みに尽力してくれていることに感謝しています。電力確保と価格の安定、ゼロカーボンに向けた取り組みは、報道されているように簡単なものではありません。今から目標達成のための準備を開始していますが、それでも2050年に達成できるかどうかは分かりません。小資源国の日本であり、輸出で外貨を獲得している日本であり、電力シフトを図っている日本なので、多くを再生可能エネルギーによって供給力を確保することは困難さが伴います。ただ諦めることなくゼロカーボンのリーディング企業を目指した取り組みをスタートさせています。