活動報告・レポート
2021年11月12日(金)
建設委員会三日目
砂防堰堤
建設委員会 建設委員会

建設委員会三日目は福井県内の地元木材を活用した砂防堰堤の若狭町小川の建設現場の視察を行いました。敦賀土木事務所が現地で説明と案内をしてくれました。

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この現場は平成11年8月の豪雨によって土砂が流失し民家への被害が発生しています。そこで住民の方々の安全確保のため三基の砂防堰堤を建設しています。ここで福井県の条例『みんなでつかおう「ふくいの木」促進条例』に基づいて、堰堤の表面に木材を貼り付けています。一つは条例に基づいた取り組みであり、もうひとつの目的は、景観にマッチしたデザイン性を持たせるためです。コンクリートむき出しの堰堤と異なり、確かに周辺環境と調和しています。令和5年度に三基の堰堤が完成する計画ですが、既に完成した二基目の現場を見せてもらいました。

ここで理解すべきことは条例化していることから地元木材の利用が促進されていることです。福井県が実施する全ての公共工事において、まず木材の活用が図れるかを検討しています。そこで利用が可能となれば利用することを前提として計画を進めていきます。その分の予算を見込む必要がありますが、それも含めて予算化して工事発注を行っているのです。この考えは県内の土木事務所の堰堤工事にまで及んでいるのです。

地元木材の利用を促進する条例に基づいた取り組みは紀州材の利用促進の参考になるものでした。

福井県年縞博物館
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続いて福井県年縞博物館を視察しました。この「年縞」という言葉は今回、福井県に来て初めて聞いたものです。同博物館の説明によると次のような定義だそうです。

「長い年月の間に湖沼などに堆積した層が描く特徴的な縞模様の湖底堆積物」のことで、1年に1層形成されます。縞模様は季節によって違うものが堆積することで、「明るい層と暗い層が交互に堆積することでできるもの」だと伺いました。

ここの「年縞」には7万年前からの地球の気象環境が記録されています。そして7万年分の地球の記録は45メートルの「年縞」に刻まれていて、研究者の方々が解読してて地球年表を作成しています。そこに富士山や阿蘇山、そして大山が噴火した時代の記録や氷河期や気候変動の経緯も記録されているので驚きます。つまり「年縞」に残された記録を解読することで、その時代の地球環境が分かるので、「年縞」は地球の記録なのです。そんな「年縞」が福井県にある水月湖で偶然、発見されました。水月湖は有名な湖なので過去に訪れたことがありますが、この「年縞」のことは全く知りませんでした。

この水月湖に「年縞」が形成されたのは三つの条件が重なったからだと聞きました。

一つは湖に直接流れ込む河川がないこと。二つ目は 湖が深くて深層部には酸素がないため湖底に生物が生息していないこと。そして近くに断層があり水月湖が深く沈んだため、風や雨などによる湖面の動きに影響を受けないためです。

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つまり湖底がかき乱されることがなく、断層活動のために湖が埋まることない環境を持った湖なのです。そのため7万年の「年縞」が残されているのですが、世界の湖でもこれほど長い間連続している年縞は例がないと説明してくれました。

今回「年縞」のことを知りましたが、地球年表に出会って興奮するほどでした。7万年前からの地球環境が分かることで、地球で誕生した恐竜やマンモス、人類など生命の歴史も「年縞」というものさしに当てることでいつの時代か判明しますし、大規模な噴火や地震、気候変動などの歴史も分かります。「年縞」に残されている花粉やプランクトン、火山灰や黄砂などの成分を分析することで判明するものがあります。

それは「地球の気温や水温などの気候変動を年単位で分析することが可能となり、堆積物の量や内容で自生していた周辺の植生の変化、洪水や地震の回数、またその周期などの精度の高い変化過程の正確なデータが得られる」ということです。

実に魅力的なデータであり地球のものさしです。地球のスケールの大きな歴史に出会うことが出来た福井県年縞博物館でした。