県議会建設委員会が開催され、和歌山市内の和田川整備事業の改修現場を視察しました。この改修工事は浸水被害解消のため河道断面拡幅を行っているものです。拡幅することで流下能力の向上を図り浸水対策につなげている大規模な工事です。
和田川周辺地域である和田や田尻、岡崎、森小手穂などは平成24年6月の豪雨で家屋が床下、床上浸水したことや、平成29年10月の台風第21号の被害を受けたことから、早期 改修が望まれていました。そこで河川全長約6kmの工事に着手しており、現時点で約4.2kmの区間が完成しています。また和田川上流部の局所改修区間は約2.7kmで、こちらの改修も進めているところです。
また浸水被害を抑えるために河川改修だけではなく、排水機場や取水堰、ポンプ場および雨水貯留管なども併せて改修し終えた、または改修中となっています。
過去の最大級の浸水に対応できるよう和田川の河川改修を行っているところです。ただ過去の最大値を想定しているので、その規模を更新するような集中豪雨や巨大台風が到来した場合の浸水の危険性は残りますが、考えられる規模の災害に備えています。
ずっと以前から和田、田尻、岡崎、森小手穂地域の浸水対策は懸案であり、その改善が計画通り進捗していることが確認できました。
国と県、そして和歌山市が協力して河川改修などの工事で進めているもので、国は総合農地防災事業として予算化してくれています。このように巨大災害への備えは関係する行政機関が総力を挙げて取り組むべきものであり、その姿勢は従来から変わっていません。災害対策に一人のヒーローは必要なく、関係する全員が役割を果たすべきことです。「私が予算を獲得しました」などの台詞がありますが、災害への備えを手柄にするのは相応しくないと思います。災害から生命と財産を守ること、生活の安心と安全を守ることは、行政として当然対策を講じるべきことだからです。ヒーローがいなければ災害への備えが図れないような地方自治体はわが国では存在しないのです。
繰り返しますが、国民の生命と財産を守るのは国の役割であり地方自治体にとっても果たすべき役割なのです。もっと言えば災害が起きないような災害に強いまちづくりを目指すべきであり、安全な場所に住むところなどを誘導することも行政の役割だと思います。現在、それは災害ハザードマップが示されているので、安全な地域を確認することができるようになりましたし、津波予想地域では高台への移転も進められているので、以前よりも危機意識が高まっていると感じています。
視察した和田川に話を戻しますが、この地域の浸水被害を防ぐための河川改修工事が順調に進んでいることで安全確保と周辺の皆さんへの安心感を与えることができていると思います。平成24年の時も平成29年の時もそれ以外の時も、和田川の水位が上昇している現場を何度も訪れて情報を発信してきました。近年は和田川の増水が少なくなってきているのは、この改修工事のお陰だと感謝しています。
建設委員会の役割には、県土発展と災害に強い地域づくりがあります。その現場が動いていることを確認できました。委員長からは「現場を訪れることで分かることがあります。見逃していたことに氣づくことがあります。視察の機会はとても大事だと思います」という話がありました。全くその通りです。計画を知っていても現場を知らなければ、課題は発見できませんし、その次に対応することはできません。現場からの報告と共に自ら赴くことは危機管理を始めとする原則です。
視察の初日は和田川河川整備工事と海南金屋線の仮称、鏡石トンネル道路改良工事の県内視察でした。明日は福井県内の視察に入ります。