活動報告・レポート
2021年11月9日(火)
エネルギー問題

エネルギー問題に関心のある方々と研修会を行いました。この数か月間、エネルギーコストは上昇の一途であり、冬にかけてさらに上昇すると予測されています。原油や天然ガスの価格は上昇し続けています。今年の冬はエネルギーコストが上昇することから電気料金が高くなることが予測されています。

このことは家庭への負担と共に産業界にも影響を与えることになり、景気の先行きを不安定にさせることや国際競争力を低下させることになります。日本の政情が安定していることから産業の国内回帰を図っている時期なので、国内立地がやや厳しい環境になることを懸念しています。

また他国からDXの拠点の進出の話もいただいていますが、国内の電力単価と比較して高いことから採算性の問題で止まっている問題も顕在化しています。電力コストが安価で供給が安定していることが進出のための必要条件です。安定はしているものの単価の先行きが上昇傾向にあることは、やはり国際競争力で劣後することを感じています。

これから更に再生可能エネルギーにシフトしていくことは、将来の電力コストが高くなることを意味しています。もちろん「RE100」の電力は必要不可欠ですから導入は回避できませんが、産業の競争力を維持しながら導入を進めることは簡単なことではありません。発電方式の技術革新がない限り電力コストと「RE100」の両立は、報道で言っている程簡単ではなく困難であることは事実です。

水素エネルギーの活用や太陽熱集光発電、洋上風力発電など技術革新による次世代の再生可能エネルギーの登場を待っているところです。

そして現在の主力電源であるLNG発電や原子力発電を、どう位置付けるのかも論点になります。代替電源を確保することなく直ちに廃止というのは現実的ではなく、現在の太陽光発電や風力発電、バイオマス発電はコストが高く、再び業界を支えるには発電量も小さいので主力エネルギーにはなり得ないのです。

ですから現実問題としてまだ化石燃料に依存する状況であり、全てのエネルギーを脱炭素で賄うことは困難です。利便性を追求している現代社会において電化シフトは時代の要請であり、豊富で安定した電力を使える社会は変えようがありません。問題はどのようにして電力を作り出すかの問題です。現時点において妙案はありませんから、時間をかけて検討と技術開発を図る以外にありません。

資源のないわが国のエネルギー政策をどう脱炭素に切り替えていくのか、脱炭素の裏付けが不明瞭な状況ですから、今後、政府の明確な方針が示されるのを待ちたいと思います。

参加者の意見として次のようなものがありました。

普段の生活の中でエネルギー問題を考える機会はありません。考えることも情報を得ることもありません。今回のように説明をしてくれて質疑を交わしたことは初めてのことです。この機会があったからエネルギーを考えて質問をすることができました。貴重な研修会になりました。

新聞やテレビを見ているだけなので、日本は簡単に再生可能エネルギーに切り替えることができると思っていました。常に報道と現実は違うので自分たちが問題になっていることを考える必要があると思いました。考えなくても社会は動いていきますが、それでは自分という存在を見失ってしまいます。私達は社会の一員ですから社会問題を考えることが政治参画だと思います。大事なことの方針を示さない政党であれば、次回の選挙で投票しないことです。投票だけが政治参画ではなく社会問題を考えて自分の考えたことと照らし合わせることが、普段の私達がすべきことです。考えない国民を政党は大歓迎していますから、考える国民であることを知らしめる必要があると思いました。