活動報告・レポート
2021年11月5日(金)
濱口梧陵偉業顕彰シンポジウム
濱口梧陵偉業顕彰シンポジウム
濱口梧陵偉業顕彰シンポジウム

「濱口梧陵偉業顕彰シンポジウム 現代(いま)に生きる梧陵の精神」に参加しました。本日は国連が定めた世界津波の日であり、それを記念したシンポジウムが開催されたものです。

 講演は関西大学社会安全学部特別任命教授・社会安全研究センター長の河田惠昭先生で「濱口梧陵を世界の英雄にする!」をテーマに話を進めてくれました。

今回訴えてくれたことは「偉人から英雄へ」和歌山県の力で押し上げようということです。濱口梧陵が偉人であることは和歌山県民なら知っていることですが、全国、そして世界でその功績は知られていないと思います。日本人が思う偉人ではアインシュタインやスティーブジョブスの名前、日本人では織田信長や徳川家康の名前が出てきますが、和歌山県の偉人の名前は登場しません。全国的には名前も功績も知られていないからです。

河田先生が示してくれた濱口梧陵の偉業は次の通りで、だからこそ英雄に相応しいことを訴えてくれました。

  1. 「稲むら」に火をつけて津波から村人を救出した。
  2. 紀州藩に村人救出を申し出た。しかし紀州藩は自ら救出に乗り出すのではなくて、「自分で救出するのであれば許す」と伝えたに過ぎなかったようです。
  3. 仕事を失った村人に「堤防建設」の仕事を作り賃金を支払った。
  4. 江戸と銚子で「ヤマサ醤油」を醸造、販売、その売上金を広村に送って堤防建設事業を完成させた。
  5. 1855年の安政江戸地震に遭遇して被災しても、この支援を継続した。
  6. 明治に入り和歌山県議会議長、郵政大臣として地方行政と国政に貢献した。
  7. 1946年の昭和南海地震に際し、津波による村人の犠牲は生まれなかった。
濱口梧陵偉業顕彰シンポジウム

以上の説明をして濱口氏が英雄に相応しいことを伝えてくれました。続いて英雄にするための戦略を考えて実行していることを説明してくれましたが、偉人を称え誇りに思うようになるまで、誰かが懸命の活動を続けなければならないことを感じました。この話を聞いて和歌山県の偉人が知られていないのは、懸命に志と功績を伝えようとする人が少なかったように感じました。

故郷の偉人は大勢いますが、全国的にメジャーでないのは地元からの発信力が弱いことも原因だと反省しているところです。例えば小野田寛郎さんのことも、ようやく映画化されて世界に発信されたばかりですから、故郷の偉人を称え誇りに感じてもらうまでには長い時間を要することになります。偉人から英雄へと向かうためには故郷の人が英雄であると思い、地元からの強力な発信が必要だと思います。そんな覚悟も教えてくれる講演会でした。

さて津波で生命を亡くした人が多い原因は「逃げなかった」からに尽きると説明してくれました。津波浸水地域で暮らしている人や仕事をしている人に対して避難勧告を出したのですが、「仕事があるから」「スーパー防波堤があるから大丈夫だろう」と思って避難しなかった人がいるのです。津波から逃げなければ生命を護ることはできません。生命を護る基本は逃げることですから、津波などの大災害に備えて濱口梧陵の「稲村の火」の精神に基づいて避難することを心掛けたいものです。

その他
  • 歩道と車道の分離帯の安全対策に関して要望通りに進むことになりました。同じく要望していた側溝に落ち葉が溜まり冠水していた状態の個所への対応も終えることが出来ました。安全確保のために尽力してくれている県土整備部と海草振興局の皆さんに感謝しています。
  • コロナ禍における生活困窮者への対応が機械的で「行政の言う通りにしなければ支給できない」ような対応があったようです。「あまりにもコロナ禍で困っている人に対しても思いやりの気持ちがない」ことの意見がありました。
  • 「医療的ケアの必要な子どもたちの教育と生活を考える会」の役員の方から要望をいただきました。この問題は法制化されたので、今後はさらに地方自治体の取り組みが求められることになります。保護者の思いを形にするために連携していきます。