「距離感を柔らかくするしくみが必要です」と話がありました。これは白浜町から和歌山市まで、車を利用して高速道路で移動した場合の時間を約1時間30分、インターチェンジを降りてからさらに移動する時間を「2時間ぐらい必要」と示したことによる回答です。
「距離感を柔らかくするしくみ」とは移動する市町の間に、ホテルや食事場所、観光地や立ち寄りたくなる施設などがあることです。これらの施設があると立ち寄りたくなるので時間の長さを感じないのです。つまり距離感を和らげる作用があると言うことです。「ここからの移動時間は2時間です」と言われると「遠い」と思うのでビジネスに関しては「やめておこうかな」と思われると機会を逸することになります。しかし「車で約2時間ですが、途中〇〇ホテルに立ち寄って下さい。景色の良いカフェがありますから。その後は〇〇がありますから食事をして下さい。おいしいですよ」と解説を加えると移動の距離感は緩和されます。
楽しいことや立ち寄りたくなる場所があると移動時間を「そこに近づいていると感じられる時間」になるのです。和歌山県は広いことから車での移動に時間がかかります。移動の間に観光地やレストランやカフェ、物産などがあれば、そこに立ち寄りながら移動するので、例え移動に5時間かかったとしても「楽しみながらの移動なので長くは感じない」ことになるのです。
そしてビジネスで和歌山県に来た人をビジネスだけで帰らせてしまうと、経済効果は少なくなります。一泊で帰るのではなく、ビジネスを終えた後も後泊してもらって二泊してもらえる案内をすべきです。ビジネスと温泉、ビジネスと娯楽などを組み合わせたコースを創り出して来県される皆さんに案内したいものです。また外国からビジネスに来られる方に対してもビジネスと世界遺産を組み合わせた案内をしたいところです。
外国の方との懇談や視点にハッとさせられることがあります。会話をすることでヒントが得られるので、しっかりと記録と記憶をすべきです。
全国で仕事を行っている東京本社の方から和歌山県の特異性について意見を聞く機会がありました。その中で「それは違う」「なるほど」と思うことがありました。
「和歌山県での仕事は『横やり』や『批判』が多いですね。他の県では見られないことです。他者や他人の仕事を奪おうとすることや、邪魔をする慣習は他にはありません。拡大解釈をしてあるとしても和歌山県程のことはないです。和歌山県では当たり前のことが他の県ではあり得ないことに気づいていないように思います。
勿論、競争入札では同業他社と争いますが、請負が決まった仕事に対して「横やり」を入れることはありません。地域のために必要な仕事なので邪魔はしませんし、むしろ関心がないという感じです。決まったことは『ごちゃごちゃ』言わずにもう次の仕事に向かいます。和歌山県はいつまでも『ごちゃごちゃ』言っていますし、たった一度のことをいつまでも批判をしていますね。
お互いが他者の引っ張り合いをすることは、地域を良くすることはありませんから止めるべきだと思いますね。だから私にでさえ人の批判や悪口をよく聞かされています。でも私の会社は東京が本社だから和歌山県の誰が何をしていても関係ないのですが(笑)。会ったことのない人の批判を聞いていますから大変な地域だと思います(笑)。最近は全国で公共仕事などが多いので地方の仕事を入札に行くことはありません。かつてと違って今は『建設会社に仕事をお願いする』状況です。『仕事をやるから来て下さい』といった昭和の感覚でいると大手は来てくれませんから。人の機器も材料も不足しているので一緒に仕事をしたい相手を選びます。仕事には謙虚さが必要ですね」という話です。
和歌山県にいると分かりにくい視点からの話です。全国レベルの感覚を理解しながら活動をしたいと考えています。