活動報告・レポート
2021年9月6日(月)
海底熟成酒
海底熟成酒

全国17か所で取り組んでいるのが「海底熟成酒」です。これはワインや日本酒などを海底に沈めて熟成させることによって、お酒の味を美味しくまろやかにしようとするものです。

海底に沈めるのは、海底は海水温度が安定していること。潮流や音波が熟成に関係していると言われていることが理由です。この方法が試されるようになったのは、ある国のダイバーが難破船に潜水した時、船内からワイン樽を発見して引き上げたことにあります。その試しにそのワインを飲んでみたところ、熟成して美味しかったそうなのです。海底に眠っていたワインが熟成して味が良くなっていることから、お酒を海底に沈めることにつながったのです。

説明によると「海中の微振動によって地上で管理しているよりも熟成が進み、長期熟成したようなまろやかでコクのある味わいになる」ということです。長期保管で熟成されたワインと同じようなワインを海底で熟成することで得られるというものです。これから実証データを取り、味の検証を行っていくことにしているので、そのためのサンプルワインや日本酒、梅酒を串本の海底に沈める計画にしています。海底に沈めておく期間は半年と1年、毎月、一定の本数を沈めていくことになります。

串本を選定したのは「エルトゥールル号」の物語によって日本とトルコは強い友好関係につながっていますが、その舞台となった同町が関係していることから、トルコワインを沈めることになったのです。

和歌山県に移住してきた事業者の一人は「串本町の海のきれいさは勿論のこと、日本とトルコの友好の物語の舞台であり、トルコワインを串本町で熟成することはこの歴史の価値を見つけられました。私達は海があればどこでも良い訳ではありません。品質と語れる物語が必要なのです。だから和歌山県串本町を選びました」と話してくれました。

和歌山県で進められようとしている海底熟成酒プロジェクトによって、和歌山県が誇れる産品と歴史の発掘と発信が期待できます。しかもこの価値は、和歌山県外の人達が運んできてくれたものです。

企業誘致の物語性

企業誘致活動は容易ではありません。和歌山県のことを知ってもらい、何度も打ち合わせを行って人間関係を築き、企業が進出を検討できるための条件整備を行い、出来る限り企業の希望を叶えるために迎え入れる環境整備を図り、ようやくスタートラインに着くことができます。

前述の熟成ワインと一緒で、人が水面下で動いている時は行動の様子は見えないけれど、合意した後に突然、姿を現します。

多くの人は「和歌山県に進出してくれる企業があるのだな」程度です。かけた時間も飛び回った行動も、情熱や思いも分かりません。何百社のうち一社でも進出してくれたら有り難いことなのです。簡単なことではありませんが、結果が出た後は簡単そうに見えてしまうのです。ですから企業進出の過程には、それぞれの物語があると思います。

関係した人だけが分かっている物語が生まれるので、関わった人にとって苦労が楽しいものになります。そして個人として語れるものがあるから、それを伝えることによって物語に発展していくのです。物語を創ることは簡単ではないのは、困難や行き詰まり、行き違いや思い違いなどの語ることのできるドラマがあるからです。

困難に直面することなく順調に右肩上がりで達成したものがあるとしたら、それを語っても聞いてもらえる物語にはならないと思います。

その他
  • ある教育課題に関する現状把握と今後に向けた協議を行いました。生徒が安心して勉強やクラブに打ち込める環境を作ることは関係する人がやるべきことです。当該教育に関係する人が協力して生徒を成長に導きたいと思います。
  • 企業誘致、教育に関する説明に必要な資料を作成しました。言うのは簡単ですが文章にする作業は簡単ではないのです。
  • 経営者にブドウの話を聞かせてもらって懇談しました。ブドウ生産者と関わる人の気持ちを届けることに感動しました。