県議会会派の視察で、有田市にある早和果樹園を訪ねました。みかんの生産や製品加工などを行っているとても元気な法人です。会社として目指しているのは、みかん加工品の売り上げを高めることによって、みかん生産農家の所得を高めて後継者を育成し、そこから地域振興につなげることにあります。
この仕組みを確立させていち早く後継者を育成していて、会長が後継者に指名した社長はまだ45歳ですし、他の役員も全員40歳代の若い会社になっています。農業の課題は生産者の高齢化や後継者不足だと言われていますが、ここはこれらの課題を解決している会社です。更に従業員さんは20歳代が40パーセント以上を占めていること、女性従業員さんの比率は69パーセントとなっています。時代が目指している最先端を走っている六次産業の会社です。
また毎年、新卒の学生を採用していますが、その採用基準は「コミュニケーション力を重視している」と聞きました。
会長は「知識や学力も大事ですが、何よりもコミュニケーション力が大事だと考えています。職場の皆さんと楽しく仕事をして欲しいですから」と伝えてくれました。
同社ではコロナ禍にあって、これまでのお客さんと直接向かい合って販路を拡大する方式からEC事業へと方針を切り替えたことで、売り上げは落ちることなく維持できています。言うのは簡単ですが会社方針を切り替えることは簡単なことではなく、これも若い会社ならではのスピード感が表れていると思います。
現在もみかん生産と加工製品で市場を切り開いていますが、将来目標は売り上げが現在の10倍であり、地域として持続可能なみかん産地を形成することです。そしてみかん加工品の販路拡大によって地域外の外貨獲得につなげ、その資金で生産農家のみかんを高く買い上げることで地域経済を潤わすことです。「地域未来牽引企業」という言葉を用いてその覚悟を示してくれました。
経営方針などの説明と案内をしてくれた秋竹会長は「毎年、新しい製品を生み出すことが企業の存続のために必要なことであり、毎年一つ以上の新製品を開発しています」と自信と誇りを持って説明してくれました。「六次産業による地域活性化へ挑戦している」姿に感動しました。
湯浅町役場を訪ねて楠副町長を始めとする職員さんと意見交換を行いました。湯浅町の駅前の開発や観光の取り組みなどを聞かせてもらい、意見交換を行いました。僕の意見は次の通りです。
- 湯浅城を拠点としてベニクラゲを研究している京都大学の先生がいます。ベニクラゲは不死の生物として注目されていますが、その生態は判明していません。先生はその研究を行っていて世界的にも注目されていますから、人材として湯浅町の宝になりますし、町の観光施策と組み合わせることで観光客を呼び込むことができると思います。
この分野の第一人者ですし、ベニクラゲの生態が解明できれば一気に名前があがることになります。この研究拠点が湯浅町となりますから、是非とも町をあげて支援して欲しいと思います。 - JR湯浅駅前の再開発が進展していますが、駅周辺の再開発は町の活性化につながります。和歌山市でも南海和歌山市駅を建て替えたことで行き交う人が増えています。駅に併設している市民図書館の利用者は以前の7倍に増えているように、利用者も交流人口も増えています。湯浅駅も改装して町立図書館が併設されていることから、交流につながっていると思います。これからの街づくりと観光に期待しています。
御坊市役所を訪問して三浦市長と意見交換をさせていただきました。三浦市政の方針を聞かせていただいた後に意見交換を行いました。
- 御坊市の「御坊市認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」は全国で初めて制定された条例であることを知りました。
認知症の方が生活しやすい御坊市を目指した取り組みは先進的なことです。現在取り組んでいる生活しやすい取り組みの事例を聞かせてもらって、「ユニバーサルデザインを導入すれば」、更に良い取り組みができるのではと思いました。
現在、地域防災の観点から誰でも判別できるデザインと街づくりを行っていますから、この条例に基づいた取り組みをする際の参考になると思います。認知症の方、障がい者の方、外国人の皆さんなど、全ての人が生活しやすい街づくりがユニバーサルデザインです。この考え方は参考になると思いますので御坊市の取り組みを紹介していきます。 - 御坊市にはバイオマス発電の進出があるように聞いています。ただ導入に際しては、燃料となる国内産のバイオチップの調達が難しいことが課題です。地元産業に役立つために県内に進出してくれるのであれば、更なる林業の振興や林業の従事者の育成を図ることも必要だと思います。
新規の企業誘致は時間がかかりますし簡単ではないので、進出予定の企業が地元で末永く企業活動ができるための支援をお願いいたします。 - 大型の再生可能エネルギーの導入を検討して欲しいと思います。世界はカーボンゼロに向かっていますから、環境に恵まれている和歌山県こそ新エネルギーの導入を目指すべきです。国策でもありますし、適地性があれば検討してくれることを期待しています。大規模な再生可能エネルギーは地域振興と経済効果、観光振興と雇用確保にもつながると思います。