和歌山県が求める人材の養成について会議の場で議論を行いました。時代の返還と共に産業構造が変化しているので、企業が求める人材も変わってきています。和歌山県は長く産業構造に変化がありませんが、今後とも同じ構造が続くとは限りません。
社会はカーボンニュートラルやハイテク化、デジタル化が進展しているので新産業に向かうことが求められています。和歌山県ではハイテク産業などの誘致を進めていますが、仮に新産業の誘致が図れたとしても問題になることがあります。
企業が求める広大な用地と電気と工業用水は必須条件ですが、経営者は従業員さんの安心と安全を求めています。つまり仕事のトータルソリューションを揃えることが進出の条件だと考えているのです。
それは住環境であり子どもの教育の機会であり、コミュニケーションの場であり娯楽そして食事でもあります。この中で住環境を例にすると安全と安心を求めています。県外や外国から和歌山県に来る人は和歌山県の治安や生活環境などを知りませんから「企業として安全で安心して生活できる環境を整える必要があります」ということです。かつてのように寮や社宅を準備して入居してもらうしくみは歓迎されないので、安全で安心できる住宅の確保や通勤や通学に適した場所での住宅提供が必要となります。
仕事のトータルソリューションとは、仕事時間外のコミュニケーションが図れる場所やお店、余暇を楽しめる場所が近接していることなども求められる条件です。従業員さんを大切にすることが企業の価値であり、大切にしない会社は敬遠されるので人材は集まりません。
細かい条件を書き出すとすれば、スーパーやドラッグストア、医療機関、飲食店なども近接しているなど利便性が高いことも必要ですし、フィットネスクラブや娯楽施設も近くにある方がよいのです。
そんな仕事のトータルソリューションの条件を整えて人材を迎えることになります。ただ新産業が求める人材は技術力が必要なので簡単に集めることは出来ません。
それなら人材養成のための教育機関を併設して、企業が求める人材教育を任せる代わりに学校を卒業、または修了後は雇用することを条件にすることも検討できることです。新産業が求める人材は「高校からでは距離が遠いので、即戦力となるような専門学校や大学校で履修している人材を求めています」ということです。新産業に分類される企業が求める人材は製造工程に対応する高い技術力が必須ですから、職場内教育よりも専門機関での教育に頼る部分が大きいようです。
但し高度な知識や技術を有する人材は短期間で養成できないので、本社や中央から移転してもらう必要性があります。そんな人が転勤してくれた時に「和歌山県に転勤して働けることは最先端の技術に接することになるので有り難いこと。また住環境も生活環境も良いので楽しみにしています」と思ってもらえる和歌山県にしたいと考えています。
ただ他府県から移転できない仕事があります。それがサービス業なので、地元の事業者からサービス提供を受けることになります。和歌山県のサービス業はレベルが高いと思ってもらいたいのです。新産業の企業を訪問するゲストやお客さん、取引先などの方々に接する機会が増えることによって、サービスレベルが向上していくと思いますから、県外VIPの対応を経験する機会を設けることも課題だということです。
関係者が集まって議論を行うことで課題が分かりますし、受け入れるためにやるべきことも見えてきます。3年先、5年先の和歌山県を目標に企画と行動をしていますが、目指している和歌山県の姿は50年後です。50年後に和歌山県の皆さんが「良い和歌山県を創ってくれた」と思ってくれる姿を目指しています。