全国龍馬社中近畿北陸ブロック大会が和歌山市の和歌山ビッグ愛で開催されました。このブロック大会は近畿と北陸の各府県で持ち回り開催していますが、本年度は和歌山県で開催してくれることになりました。各地の龍馬会の役員の方々が早朝から各地を出発して、会場である和歌山ビッグ愛に集まってくれました。
議題は「2020年度全国龍馬社中」役員総会で議決された議案の説明と近畿北陸ブロックの龍馬会の活動状況の報告などでした。コロナ禍に集まっての会合はできない環境にあるので、今後に向けての活動方針を検討していることを聞きました。
今年の目標として「みんなの龍馬から、みんなが龍馬」を心掛けて実践することを確認しました。龍馬に憧れるだけではなくて、メンバーが龍馬になって活動をしようということです。
さて報告の中で「三河龍馬会」から「龍馬と共に陸奥宗光にも興味を持ったので参加しました」と報告がありました。その理由は「三河龍馬会」の役員会に「紀州 宗光龍馬会」の臼井会長が参加して「陸奥宗光伯」の功績を講演したことにあります。講演と交流を行ってきたことから、陸奥宗光伯に関心を持ち「陸奥宗光さんのことをもっと知りたい」と思い、和歌山県で開催されるブロック会議総会に「参加しよう」となったのです。
「三河龍馬会」の活動は学校教育で「坂本龍馬の生き様を伝える」ことを重点志向しているため、学校の授業の講師を担当して実践しています。子ども達に坂本龍馬の志と行動を伝えることで「生徒はやる気が出ています」と言う結果がでています。
このように各会が集まっての近況報告と意見交換は刺激になるので、それぞれの会の今後の活動につながります。
「金沢龍馬会」から「来年の北陸三県の龍馬会の集まりは金沢市で開催します。片桐さん、是非、来てください」と依頼をいただきました。このように交流機会があることが今後につながります。
「来てもらう、そして訪問する」この交流が人間関係につながり、その後の具体的な動きに発展していきます。
また光栄なことに、郷士、坂本家十代の坂本匡弘さんも参加してくれました。坂本家に伝わる坂本龍馬の話を聞かせてもらいました。32歳で亡くなったことから家訓は残されていませんが、龍馬の手紙や勝海舟や西郷隆盛から贈られたものがあるとのことです。
和歌山ビッグ愛で「和歌山県誕生150年、和歌山市政130年、陸奥宗光先生乃像建立50周年」記念講演会を開催しました。最初に宇都外務副大臣にご講演いただきました。講演テーマは「〜国益と世界秩序との調和〜これからの日本外交について」でした。個人的な見解で要旨をまとめました。
これまでの外交を現代に生かすことが大事なことです。外交とは一人で出来るものではなく、情報や人脈などの総力で成り立つものです。ですから「力なき外交は空論に過ぎない」と言えます。陸奥宗光外務大臣の時に不平等条約の改正を行いました。それができたのは、時代背景としてパワーバランスがあったのです。ロシアの南下を防ぎたいイギリスは「極東情勢を日本に任せることが得策」だと考え「日本と組むべき」と結論づけたのです。日清戦争の開戦前にイギリスとの不平等条約が改正されていることから事情は分かります。日本が近代国家へと向かい、その力をイギリスに見せつけたことが改正への流れを作ったのです。
特に先進国は、国益だけを求めることが世界の流れに合っていません。国益は求めますが、その先に相手国の利益も考えなければなりません。世界全体の発展につながる利益も考えることが現代の外交です。そして現代の国際社会でぶつかり合うのは価値観です。ぶつかり合う価値観を調整することは難しいので、両国の国益を考えることが必要なのです。
明治政府の象徴的な人物が陸奥宗光外務大臣だったと思います。明治時代は誰もが同じ価値観を持っていたので、陸奥宗光が特別な人だったわけではありません。強い気概、外国に学ぶ、至らないところは学ぼうとする意思。それらが明治政府の価値観だったのです。何も特別な人ではなかったのです。ですから国として不易流行を求めて、国をリフォームすることを目指した時代でした。
外務大臣が残した有名な言葉に「蹇蹇録」の中から「政治はアートなり、サイエンスにあらず」があります。ヨーロッパ社会では、神が創ったものがサイエンスであり、人が創ったものがアートだとされています。政治はアートなのです。アートですから音楽や絵画、演劇などと同じ人が創りだすものなのです。
日本外交の歴史が分かり、外交力を考える契機となる講演となりました。
和歌山ビッグ愛で「和歌山県誕生150年、和歌山市政130年、陸奥宗光先生乃像建立50周年」記念講演会を開催しました。閉会の挨拶担当をいたしました。挨拶の趣旨は次の通りです。
本日は記念講演会にお越しいただきありがとうございます。講演会の最後までお聞きいただいたことに重ねてお礼申し上げます。
講演会で宇都外務副大臣が話した中に印象に残る言葉がありました。講演会全体が素晴らしかったのですが、その中で「陸奥宗光さんは特別な人でなかった」と人物を説明したことが心に残っています。ここで思い出したのは司馬遼太郎さんが「竜馬がゆく」の後に高知市で講演をした時の話です。「坂本龍馬は特別な人ではなかった」。高知市で坂本龍馬を特別な人ではないと語っているのです。
陸奥宗光さんも坂本龍馬さんも特別な人ではない。僕は「このことは最高の褒め言葉だ」と思っています。
歴史に残る大偉業を成し遂げた二人ですが、恐らく、その過程においては悩み、苦しみ、行き詰まり、それでもやり遂げる意思を持ってやるべきことを果たしたと思うのです。私達と同じようにもがき苦しんだ末に結果を残せたと思うのです。決して特別な人ではない人が偉業を成し遂げたのです。
このことは今のシンポジウムを聴かせてもらって皆さんも感じたと思います。幼少の頃から成長する過程でのエピソードは特別なことは何もありませんでした。私達と同じような感覚を持って生きていたのです。結果として薩長同盟と大政奉還、不平等条約改正など歴史に残る偉業を行っていますが、最初から歴史的偉業が残せるなんて思っていなかったと思います。
持っていたものは意思だけで、その意思を貫き通したことが結果を導いたのです。歴史から学ぶのはこのことです。決して特別な人が偉業を成し遂げるのではなく意思を持って継続した人が偉業を成し遂げるのです。生きている時はスーパーヒーローではなかった。このことが私達に「意思を持ってやればできる」ことを教えてくれます。
今を生きている私達は歴史を刻んでいるのではありません。私達は歴史を生きているのです。だから結果は出ていないだけです。やるべきことに向かって生きる、生きる、生きることだけなのです。
さて高校生の皆さんも講演会を聞いてくれました。陸奥宗光さんや坂本龍馬さんは歴史上の人物なので身近に感じないため「歴史からは学ぶことはできない」と思っているかもしれません。
皆さんに伝えます。大人達は陸奥宗光さんや坂本龍馬さんの生き方から生きるために必要な意思や志を学んでいます。だから皆さんがいる学校の先生や周囲の大人達の言動から学ぶことができると思います。身近にいる大人の生き方を見て、そこから学ぶことが歴史から学ぶことになるのです。難しいことではありませんから実践してください。
そして全国から来てくれた龍馬会の皆さんにお礼申し上げます。和歌山県で近畿北陸ブロック総会を開催してくれたことに感謝しています。知事や市長、そして私達が心から歓迎し皆さんをお迎えさせていただいています。講演会の熱気と故郷の偉人を敬う心を感じてくれたと思います。
ここで言うべきことではありませんが、お願いしたいことがあります。数年後、全国から龍馬会の皆さんが再び和歌山県を大きな舞台で訪れてくれることをお願いいたします。師弟関係にあった坂本龍馬さんと陸奥宗光さん。偉人を大切にしている和歌山県として皆さんをお迎えしたいと思います。是非ともよろしくお願いいたします。
最後になりますが、和歌山県誕生150年、和歌山市政130年、陸奥宗光先生乃像建立50周年の記念講演会に最後まで参加していただいたことにお礼申し上げ、閉会の挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございました。
記念講演会終了後、会場を岡公園に移して「記念式典」と「銅像磨き体験」を実施しました。
この式典のために和歌山市が「陸奥宗光先生乃像」を磨けるよう足場を組んでくれたことに感謝しています。足場を組んでくれたことで記念式典を実施することが可能となったのですから、心から感謝するばかりです。銅像建立から50年が経過していますが、恐らく銅像に触れたのは今回が初めてのことだと思います。記念式典に参加した全員が銅像磨きを体験できたことに感謝しています。
和歌山市長、和歌山市教育長をはじめ、加太中学校と和歌山工業高校の生徒の皆さん、龍馬会の皆さんも得難い絶好の体験となりました。
銅像を磨くことは心を磨くことになる、それを目指した体験ができました。世の中には得難い体験というものがありますが、陸奥宗光先生乃像を磨く体験もその一つだと思います。これまで誰も体験したことがないことを「建立50周年」という特別な年の記念事業であることを和歌山市が理解してくれたから実現したもので、今後も難しいことだと思います。
先生乃像に触れた私達は先人の意思を確認することが出来ましたし、故郷の偉人の誇りを引き継ぐ覚悟が生まれました。そしてもうひとつ、銅像を建立した先人達の思いを引き継ぐことになったのです。
この銅像磨きは「学生の皆さんに体験してもらって偉人の精神を感じることと、風雪に耐えてきたものを磨くことは心を磨く教育機会になる」と確信をもって実行委員会が考えたものです。
和歌山市に趣旨説明と要望をして実現したものであり、熱意が市役所を動かしたと思っています。この要望に応えてくれた和歌山市にも深く感謝しています。
和歌山県誕生150年と和歌山市政130年、そして陸奥宗光先生乃像建立50周年を関係者でお祝いすることができました。間違いなく和歌山県の歴史を刻む出来事だと考えています。昨年から会議を開催し、実施計画と企画、講演依頼などの準備と資料作成に務めてきました。長い時間をかけ和歌山県の歴史に関わる事業を実現できたことを嬉しく思っています。