和歌山市内の方から「高齢者の財産管理」について要望がありました。この方はこれまで高齢者福祉の仕事に携わってきた経験があり、金銭管理の不安と相談を受けてきています。一人暮らしの高齢者の方の中に自身の認知症などで不安を感じている皆さんは、「財産管理はどうしよう」「知っている弁護士がいないから相談しても不安」「子ども達に迷惑をかけたくない」などの悩みを抱えていることを聞きました。和歌山県では、和歌山県社会福祉協議会で「福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理サービス」制度がありますから、金銭管理で利用していただけるのですが、あまり知られていないように聞きました。
他の都市の同サービスを調べてみると、横浜市社会福祉協議会で高齢者の「権利擁護事業」制度があり、金銭管理も行ってくれているようです。
同協議会のホームページで目的が掲載されています。「ご自分で金銭や大切な書類を管理することに不安のある、高齢者や障害者の方の福祉サービスの利用や金銭管理などを、各区のあんしんセンターが契約に基づいてお手伝いし、安心して生活が送れるよう支援する事業です」というものです。
一般相談では、日常的な金銭の管理に不安があることや、成年後見制度の内容や手続きについて知りたい場合などの相談です。
また契約によるサービスとしては定期訪問や金銭管理サービスがあります。このサービスは具体的には次のようなものがあります。
福祉サービスの利用料金や、医療費、公共料金等の支払いや、年金や福祉手当の受領に必要な手続き、および日常生活に必要な費用の支払いや、預貯金の出し入れなどのサービスを行います。
そして財産管理として、預金通帳など財産関係書類等預かりサービスがあります。
具体的なサービスは次の通りです。
- 定期預金の通帳はあまり使わないのでしまった場所を忘れてしまうことが多い。
- 息子が年金証書を持ち出そうとして困っています。
- 不動産の権利証書や契約書など大事な書類を自分の家で保管するのが不安でストレスになってしまい心身に影響がある。
以上のような高齢者は同協議会の「あんしんセンター」で契約している銀行の貸金庫に、預金通帳や印鑑、証書(年金証書、権利証書、契約書)などを保管します。
このような高齢者サービス事業は、他に札幌市、茨城県、福岡県などのホームページで確認できます。
この方から「和歌山県内の高齢者の皆さんが財産管理で不安に感じていることもあるので、もっと周知できないだろうか」という依頼です。どれぐらいの人がこのサービスを受けているのか。社会福祉協議会が本サービスをどの程度広報しているのかなど調べてみます。
和歌山県は言うまでもなく高齢社会であり、潜在的に不安を抱える方もいると思います。よく言われている「県民の生命と安全を守る」の安全には当然、財産が含まれています。安全とは災害や犯罪、健康や財産管理などの危険と不安を解消して、安全な生活を過ごせることに他なりません。県政の課題でもあるので、社会不安を緩和するため今まで以上にこの「金銭管理サービス」を周知し、利用できる環境を整えたいと思います。実態や利用状況などを調べて対応していきます。