コロナ禍における和歌山県のチャンスとそれを逃さないための課題、将来の姿について議論しました。東京一極集中が崩れているといいますが、実際は東京都の人口が増えているばかりか、首都圏に人口が集中しています。全体の30パーセントが首都圏に集中している形は歪であり、地方に分散化することが正常だと思います。
和歌山県を始めとする地方都市は、コロナ禍で人口移動や産業誘致で有利に立つと思われていましたが実際はそうなっていません。企業の移転先は首都圏近郊であり、横浜市や川崎市、さいたま市や川口市などが上位を占めています。また宇都宮市やつくば市なども移転先になっているように、関西まで影響が拡大していないのが現状です。
そのため企業の地方分散だといっても和歌山県までは恩恵がなく、何もしなければチャンスは到来しないことを知るべきです。和歌山県が主体的に進出を考えている企業などに働きかけることや希望している企業があれば積極的に動くことによって打開する以外にありません。待っているだけ、機会を活かさないようでは、企業は来てくれないことが数字に表れています。
和歌山県には工業団地がありますから、これを活かすためには港湾の整備と南紀白浜空港をビジネス拠点にすることがすべきことです。製造業の誘致には企業が求める広い敷地と港湾と国際空港が必要であり、和歌山県は十分に適地性を有しています。
国内の企業移転は簡単ではなく外国企業も視野に入れるべきで、アジアの拠点になり得る県であること、ハイテク産業などシリコンバレー化が図れるための工業用地を有していることは世界に訴える力を持っています。
県外は勿論のこと、外国から投資を呼び込むための積極姿勢が必要なことが、これまでの移転実績から判明しています。和歌山県進出に関心のある企業誘致に全力を傾注すべき時期だと考えています。
また現段階での和歌山県の戦略的投資プロジェクトは次の通りです。
- 新しい大学を誘致できたこと。学校誘致はまちなか回遊と人口増加など効果があります。
- 統合型リゾートの誘致。事業者を選定したことから、県と事業者が国に申請するための事業計画を策定していくことになります。
- 民間ロケット発射場の建設。令和3年12月の初号機発射に向けて工事が進んでいます。
しかしまだまだ戦略的に誘致すべき事業があります。以上の項目に加えてハイテク企業や人工衛星関連企業などの誘致と和歌山下津港湾の活動、南紀白浜空港の国際線化とビジネスジェットの駐機場の設置、カーボンニュートラルを目指しての洋上風力発電の建設などを投資的プロジェクトとして取り扱いたいところです。
チャンスを生かすことに集中し、スピード感を持って取り組むこと。戦略的な取り組みはこれ以外にありません。
和歌山県が目指すべきことは、アジアのゲートウェイ和歌山県です。狙いはアジアの中の日本の中心となる和歌山県です。国内だけを見ているようなスケール観は持ち合わせていません。
昨夜、就寝中、頭の中に同じ台詞が何度も横切りました。「世界の海援隊でもやりますかいのう」です。この台詞は言うまでもなく、大政奉還の翌日、坂本龍馬が新政府の体制案をみんなに伝えた場面での台詞です。この時、この場所にいた人は次のような反応を見せたようです。
薩摩藩家老の小松帯刀は「坂本さあは もはや世界が相手で ありもすか〜」と反応したとのこと。陸奥宗光伯は、後にこの時のことを「この時の坂本は西郷よりも2枚も3枚も大人物に見えた」と語り継ぎます。
坂本龍馬に倣うわけではありませんが、和歌山県は小さな日本市場を目指しているのではないのです。目指しているのは「世界に向かう和歌山県」です。
議論を交わしてそんなことを思いました。議論の相手が「和歌山県は将来に関心を持たなければいけないと思います。みんな無関心すぎます」と話してくれたことからも、無関心が停滞を招いている原因だと思います。将来の夢を語ることが和歌山県に必要なことです。
- 和歌山県はコロナ禍で事業が少ないことから、業種によっては厳しい事業者がいることを説明してくれました。
- コロナ禍以降の人の動きや貿易のあり方について話し合いました。今から仕掛けるべき課題です。人が動き出した時は遅いことを認識して対応しています。