現在の感染症が収まった後には旅行需要が増えると思いますが、外国からの旅行客がこれまでのように来日するかどうかは意見の分かれるところです。自粛や移動の制限などでストレスが溜まっていることから、来日者が増える可能性はあると思います。
しかし、例えば中国からの観光客が訪れた場合でも、以前のような「爆買い」になるとは思えません。既に消費は国内で促すような政策を取っていますが、同国でも社会のスタイルが変わっているからです。既にECショッピングが利用拡大されていますし、デジタル決済が以前にも増して利用されるようになっています。更に外国における個人の買い物にも課税されるようになっているので「爆買い」の優位性がなくなっています。
このように国内消費を促進する政策を取っていることから、「爆買い」目的で来日する観光客は減少すると予測できます。コロナ禍が収まった後には「爆買い」が戻ると思わない方が良いと提言します。但し、日本製品の信頼性は高く引き続き需要はありますから、流通のやり方を社会の仕組みの変化に対応させることが必要です。観光客として来日して買い物をしてくれると考えるのではなく、必要な日本製の商品を相手国に提供することを考えるべきです。簡単なことではありませんが、国の制度が変われば方法も変わるので対応することは可能です。
わが国の社会のしくみは変わっていますが、更に変化していくことを予測するためにも、経済大国のアメリカや中国の社会のしくみの変化を学習しておきたいものです。世界と比較する視点を持たないことには経済大国に対抗できません。実情を知らずして批判することよりも、まず現状を知る視点を大事にしたいと思います。
感染症を抑えていることや経済成長に転じている現実がありますから、疑うよりも何が効いて回復しているのかを学ぶ姿勢を取りたいものです。
そうすればコロナ禍が収束した後に「爆買い」の観光客が戻ると期待するのではなく、買い物客は戻らないこともあり得ると考えることで、戻らない場合の対応策を考えることが出来ます。
これも観光客を受入れる業態の事業者にとっての危機管理だと思うのです。今、先を見据えて行動している事業者と、事態が収まれば「また戻る」と考えている事業者とでは、違う未来が待っています。
そこから発展させて、香港の将来について学習しておくことも大事です。現状を踏まえて将来の姿を推測することは学習になりますから、現在、起きている問題を考えることは生きた教材となります。この国際問題はわが国にも関係してくるので、両国の市場経済面でも危機管理面でも、将来の姿を予測しておきたいものです。
ホテル関係者から話を伺いました。「系列のホテルですが、都内ではリモートワークに対応するため、一部ですが仕事ができる部屋に改造しています。ベッドを取り除くなど宿泊用から仕事用の部屋に変えているのですが、この部屋には需要があるのです」という話です。
都内に住んでいる人の中にはマンションで仕事をする空間がないので、ホテルの一室を利用してリモートワークをしている人が増えているということです。流石に和歌山県では、まだリモートワーク用に部屋を改装しているいるホテルはないと思いますが、社会環境の変化に応じてスタイルも変わっていくことを感じさせてくれる事例です。
地方にいると、このような人の動きに応じた変化が見えにくいので、全国の動きを察知するための情報を得ることが必要だと感じます。やがて社会の変化は地方にも影響を与えることになると思いますし、ビジネスチャンスを県内資本で掴んで欲しいと思うからです。
報道は情報を得るために必要なものですが、関係している人からの直接の情報は更に有効なものです。このような情報を皆さんに伝えたいと考えています。