どんな調査であっても第一次情報に行きつくことが必要です。それ以外の情報は信頼性に欠ける場合が大半です。「ここだけの話」や「聞いた話」「出典が明らかでない情報」などは確認が必要ですが、その元が分からないので確認のしようがないのです。真偽または本当の話かどうかを確認するためには第一次情報に当たることか、現地に行って確かめることが必要です。
元が分からない「聞いた話」に信ぴょう性がないのは第一次情報にアクセスできていないからです。例えば中国の現状を語る人はいますが、実際を知る人と直接話をしている人は少ないと思います。
上海在住の方からは「上海では感染症の人はいないですよ。もう全員がマスクを外しています」とリモート電話で直接、話を聞きました。
また友人からは「中国でマスクを生産していますが、主に感染症が治まっていない外国向けのものです。中国からアメリカやヨーロッパに向けて輸出しています」という話を聞かせてもらいました。但し次の感染症の波に備えての危機管理をしていることは事実ですから、今からこの次に備えています。
中国では、昨年から健康管理システムを活用して個別管理をしていたので感染拡大を防いでいたことを知っています。今から1年半ぐらい前に、そのシステムを解説してもらったことがあり「このシステムがあれば感染者と接触した場合は直ぐに分かりますし、感染者が発生した場所を避けることができます」ということでした。日本が「接触確認アプリ」を開発するもっと以前から活用されていました。
経済面でも成長しているのは国内の移動を解除していることと、経済特区を活用しているからです。経済特区に外国からの商品を集めて国内から人を呼び込んでいます。例えば海南島の人口は約1,200万人、流動人口は約300万人で、長期滞在人口は約1,500万人です。この約1,500万人が観光客であり、ビジネス客であり生活者なので消費者といえます。ここに巨大な市場が誕生しているので国内消費が活発になっているのです。
海南島での免税商品を買う金額は、年間購入限度額を3万元から10万元に引き上げられています。1元は約15円ですから約150万円まで免税で買い物が可能となっています。そして免税品目は、従来からの化粧品、おむつ、健康食品、家庭用医療機器などに加えて、お茶、天然蜂蜜、電子製品、酒類、携帯電話など追加されています。このことによって国内から買い物客が多数訪れており、今年5月の海南島での免税品販売額は約19億7,700万元にも及んでいます。
わが国では国内回帰へと向かっていますが、中国も国内回帰を目指す動きがあり、コロナ禍を克服した後のインバウンドの動きや、経済動向にも影響を与えることになりそうです。国内で日本の商品を含めて免税品が買える、しかも免税限度額が緩和されている。そして国内移動のため移動が容易であることなどを考えると、わが国でかつて流行した「爆買い」が戻るかどうかは分かりません。
わが国は国内市場が縮小傾向にあることから、インバウンド政策の重要性は感染症が収まった後も変わらないと思います。政治的な問題と経済的な動きは分けて考える必要がありますから、インバウンド需要を元に戻すことを考えるのであれば、地方都市においても現状を把握しておくべきです。但し、コロナ禍において社会のしくみが変わりつつあり、元の姿に戻ることや元の消費地に戻るかは分かりません。
海南島の事例から、経済特区の威力を感じる現実を確認することができました。コロナ禍ですが、今後につなげるために和歌山県も経済特区の効果については考えたいテーマです。インバウンドで以前のように買い物客が戻るかどうか分からない中、ビジネス需要を創ることや南紀白浜空港の国際線の活用を図ることを考えていきます。