活動報告・レポート
2021年5月9日(日)
陸奥宗光先生乃像
陸奥宗光先生乃像
陸奥宗光先生乃像

和歌山市の岡公園に建立されている「陸奥宗光先生乃像」。今から50年前の、昭和46年8月24日に建立除幕式が開催されています。当時の和歌山県知事、和歌山市長を始めとする関係者が岡公園に集まり、故郷の外務大臣の功績を称え、その精神を未来に伝えていくことを誓い合ったと思います。建立の意味は偉人とそれを称える発起人の名前を歴史に記すことであり、未来につなげる誓いとなるものです。明治政府最大の課題であった不平等条約改正に務めた外務大臣の精神を誇りに思い、昭和46年に生きた政治家や建立に関係した方々は未来を生きる子ども達のためにこの像を残し、その姿と精神をプレゼントしたと思うのです。

それから50年。残念なことに尊い精神のその全てが引き継がれていないように思います。僕の小学生や中学生の時に「陸奥宗光外務大臣」の功績は「不平等条約改正」と簡単に触れた程度で、伝記もそこに込められた精神も教えてもらいませんでした。学校の授業で学ばなかったこと、大人からも教えられなかったことから、故郷の偉人の生涯を知ることはなかったのです。

岡公園の銅像は小学生のころから知っていましたが、大きな滑り台や市電がある楽しい公園という認識だけで、銅像がどんな人物だったのかを知ることはありませんでした。

果たして建立に込められた精神を、これまで伝えられているのか疑問に感じています。そして令和3年8月に「陸奥宗光先生の像」建立50周年を迎えることになりました。

ここに佇む像からは「もっと私の生きた時代、志を伝えて欲しい」「故郷の人には気概を持って生きて欲しい」「困難に立ち向かって欲しい」「将来のために私のやったことを活かして欲しい」「私にできたことだから、あなたにもできるはずだ」などの声が聴こえてきます。

その声を聞くために「陸奥宗光先生乃像」建立50周年事業、そして記念式典を開催することが望ましいと考えています。本来であれば外務大臣を生んだ故郷の行政機関が主催すべきだと考えますが、今回の主催は「陸奥宗光外務大臣の功績を教育に活かす実行委員会」が担当します。

和歌山県や和歌山市、そして教育委員会には後援をいただき支援していただくことになりますが、主催者と同じように故郷の偉人を称えその功績と志を引き継ぐ気持ちを持って参加してくれることを期待しています。

建立から50年、も言い過ぎもしれませんが、陸奥宗光伯の生き様や志を、当時の大人達は伝えることを怠っていたように思います。学校教育で多くは取り上げられていないこと。陸奥宗光伯のことを語れる人が少ないこと。偉人として全国に広まっていないことなど、客観的事実からそう思うのです。明治維新の偉人である坂本龍馬、西郷隆盛は言うに及ばす、同じ時代の他の偉人と比べても知名度は低いように思うのです。

地元を眺めても「顕彰館」がないこと、陸奥宗光伯のことを学習できる記念館のような建物がないこと、教育委員会が発刊する陸奥宗光外務大臣偉人伝などの読み物がないことなど、伝える手段がないのです。これまで訪問した偉人の記念館を有している県や市と比較して偉人の功績を伝える環境が整っていないと思うのです。

幸い「陸奥宗光外務大臣の功績を教育に活かす実行委員会」の活動に関係したことによって、その功績と精神を知ることが出来ています。同会の活動によって、その功績が和歌山市を中心にして県内の子ども達に伝えられていると思います。建立した時の精神は、大人として次の時代を生きる子ども達に、故郷の偉人の生き様を教えるためだったと思うのです。

建立から50年が経過しています。当時の知事や和歌山市長、そして関係者たちの精神を受け継ぐ意思があれば、今回の式典の場で同じ思いを共有して欲しいと思います。歴史の延長に現代がありますから、歴史を引き継がないで将来を語ることはできません。歴史から学ぶとは、身近に偉人がいればその功績と生き様から学び将来につなげることです。

「陸奥宗光先生乃像」建立50周年を心からお祝いしたいと考えて、記念講演会や記念式典を企画しているところです。