神武天皇東征についての話です。東征の「征」とは「正しいことを行う」という意味だそうです。つまり建国の志を持ってこの国の中央、九州から東に向かったのです。東に征したのは「正しいことを行う」目的をもってのことだったのです。東征は征伐ではなく「正しいことを伝えに行くこと」だったのです。それが出発してから4年(8年と記されていますが、当時の年は稲作を基にしていたので、二期作だったので2年が1年に該当します)もかけて進行していたことから分かります。ここから理解すべきは、正しいこととは米作を伝えて豊かな国を創ることを国づくりの根幹としたのです。稲作の場合は食糧として備蓄できますが、それまでの狩猟採集生活では備蓄が出来ないので飢えの心配があったのです。豊かな暮らしとは稲作への転換を求めたことだったのです。参考までに稲とは「命の根っこ」という解釈もあるようです。
大和に入ってからは「授国之徳」などを掲げて建国宣言をしたのです。この徳とは「真っすぐな心」のことです。建国の精神は戦いではなく、争いのない豊かな国を創ることにあったのです。私達は身体の中の細胞の様に争うことなく、みんなで支えていくことを求めたのです。
どこの国でも建国の精神、歴史を知らない人はいないと言われています。それは教育で誇りを持って教えられているからです。
建国の精神の序章に過ぎませんが学びになりました。
江戸時代後期の医師で、日本で初めて国産天然痘ワクチンの開発に成功した小山肆成氏の偉人伝を観ました。これは令和3年3月16日にNHKで放送されたもので、和歌山県の偉人の開発に至るまでの困難を乗り越えて快挙を成し遂げた物語です。
小山肆成氏は「天然痘は治療よりも予防すべき」と考えて、医学の先進地である京都で研究に没頭します。ワクチンの概念がなかった時代にあって、牛痘からワクチンを作り出した発想と行動、忍耐は素晴らしく、それが成功するまでに8年の歳月を要したのです。
8年間も研究を続けてワクチンを開発したのですが、当時の人は「牛痘を摂取すると牛になる」と思い、接種してくれませんでした。それでも諦めることなく天然痘に効果があることを証明していくのです。新型コロナウイルス感染症との戦いの最中にある現代、小山肆成氏の諦めない姿は感動します。
僕は令和3年2月県議会一般質問において「故郷の偉人である小山肆成氏も注目されています」と伝えたように、今の時期だからこそ小山肆成氏の功績を知って欲しいと思うのです。人類が唯一ウイルスに勝利したのが天然痘との戦いですから、そのきっかけをつくった小山肆成氏は故郷の偉人として敬われるべき人物です。
「陸奥宗光外務大臣の功績を教育に活かす実行委員会」では、故郷の偉人の功績を学び伝える活動をしていますが、その中の一人として小山肆成氏取り上げています。この会の時代を先読みしている行動を素晴らしいことだと思っています。
偉人の功績は学び、知ったことを伝えなければ継承されません。和歌山県の偉人は全国的に知名度が低いと感じていますが、偉人の功績を伝えて来なかった私達に原因があると思います。小山肆成氏のことは地元でもほとんど「知られていなかった」と聞いています。ウイルスの存在が確認されていない時代にあって、予防としてワクチンを開発したこの医師の進歩性や先見性は素晴らしいと思いますし、まさに郷土が誇るべき医師だと思います。
地元でさえ語り継がれていかなった反省から、特に昨年の活動の中で故郷の偉人の功績を伝えることを実施しています。今年になってNHKの番組で取り上げてくれたことは、私達の活動の大きな励みになります。新型コロナウイルス感染症が蔓延している現在、故郷の江戸時代の医師である小山肆成氏に脚光があたっている機会を、学びに生かしたいと考えています。