活動報告・レポート
2021年4月25日(日)
災害に備えて
災害に備えて

放送関係者と会議を行った時、心配事を話してくれました。それは次のようなことです。

「大規模災害が発生した時、通信手段が途絶えます。和歌山県からの情報が入手できなくなるので大事なことを放送することができなくなる恐れがあります。もし電柱の倒壊があった場合、浸水して設備が使えなくなった場合などは情報が取れなくなるのです。ある関係者は『そんな時はメールかファックスで情報を流します』と答えたそうですが、大災害が発生して通信手段が遮断された時にメールやファックスが使えるはずはありません。一体、どうすれば良いのか良いアイデアがありません」ということでした。

インフラが遮断されてしまうと通信手段を使うことが出来ません。インターネットもメールも役割を果たせませんし、携帯電話も通じるかどうか分かりません。

そこで登場するのが衛星携帯電話です。現在、衛星携帯は通信費が高くて維持することは難しい状況です。和歌山県や市町に災害対策用に数台設置しているだけです。まして個人で所有している人は稀だと思います。

衛星携帯を普及させるためには、それに対応するように人工衛星を打ち上げる必要があります。アメリカやAPECでは、非常時にもつながることは勿論のこと、日常において山間部などの携帯電話の不通地域に暮らす人のための衛星携帯の導入を急いでいます。そのためアマゾンやスペースXなどが数千機の人工衛星の打ち上げ計画しているのです。APECでも数千機の人工衛星を打ち上げたいと話があります。衛生携帯を日常から使える価格帯で提供できれば、災害発生時でも通信手段は確保できます。

世界では衛星携帯の時代に入ろうとしていますし、非常時に備える手段にもなろうとしています。僕は、これが世界だと感じることができています。しかしわが国では災害発生時には防災用放送設備の設置などの対策が進行中です。

しかし、この方式だと強い雨や風の時は、風向きによって聞こえないことがありますから、全ての家庭に情報が行き届くとは言えません。日本は時代に遅れていると言わざるを得ないと思います。衛星携帯の普及を目指すために年間数千機のロケットの発射を計画している国と、河川沿いや住宅地では約500メートルおきに防災放送設備の設置を計画している国とでは、発想もスケールもレベルが違います。

アジアの国の人が「日本にいてビジネスをしていると、新幹線から各駅停車に乗り換えたみたいだ」と言いました。黄金の1980年代はこれが逆で、日本が新幹線でアジアのこの国が各駅停車でした。既に時代は大きく変わっていることを感じます。

いつの間にアイデアやスケール、資金力など他の先進国に劣るようになってしまったのでしょうか。それどころかAPECの国にも、場合によってはスピード感やスケールで劣っていると感じる時があります。世界と日本の差が開いているように感じることは寂しいことです。

国産技術は利用すべきですが、世界レベルの先進的な技術を積極的に導入することも時には必要です。国際ビジネスの舞台で活動している人からは、ハイテクやAIなどの分野では世界と日本に差があることを聞いていますが、国内でいるとこのことに気づかないことがあります。

大災害の発生に備えて対応しようとしていることに関して、衛星携帯電話の導入を図るためにロケットを飛ばすという国と、防災放送設備の設置を目指している国の、大きな国力の差を感じることになりました。

いち早く追いつく方法は真似ることです。この場合、衛星携帯を普及するためロケットを飛ばして、日本用に人工衛星を配備することです。国内外に多くの課題がありますが、これは主体者を決めてやろうとすれば出来ることです。でもやらない。わが国の将来において国力の差が拡大することを懸念しています。大規模災害が発生した時の話が世界に広がりました。