活動報告・レポート
2021年4月18日(日)
伝統的な技術
一期一会

アジアの人と懇談したところ日本の素晴らしさを話してくれました。「日本人には世界に通用する『一期一会』の精神があります。これは信頼関係に結ばれていると解釈しています」ということです。ビジネスを実行するにあたって信頼関係は基礎になるものなので、とても大事なことであり、一期一会の精神で交渉することが求められます。「この精神があればビジネスを進めることができます」ということです。

ただビジネスはプレイでもありますが相手の立場を尊重することが大切です。勝ち負けではなく共に利益がある場合、叩きのめすのではなく交渉して条件を導くこと。そのためには譲り合うことや相手の言葉を信じることも必要です。

ただ交渉事なので「YesかNO」をはっきりと伝えること。直ぐにどちらともいえない場合は、回答までの時間を区切ることによって曖昧さを期すことができます。アメリカなどの場合は交渉に判断できるトップが出席する場合がありますが、日本では権限者が出席することは少ないので直ぐに「YesかNO」を伝えることが出来ない場合が多いのです。それは相手国も分かっていますから「できるか、できないか」の回答ができないとしても「回答までの期限」を示すことで交渉事は次につながります。

伝統的な技術

人が作り出したものの全ては簡単に誕生したものではないことを改めて知りました。映画「時の絲ぐるま」で登場するのは「麻」と「絹」を素材とした伝統技術です。麻の種を植えて育てて収穫、そこから伝統的な技術によって原材料に仕上げていきます。技術者というか伝統を受け継いできた名人が作り出す記述の結晶です。

絹も同じです。「おかいこさん」を育てるために、彼らの食料となる桑の木を育てるところから始まります。蚕は桑の葉っぱを食べながら成長していくのですが、幼虫の時は葉っぱをそのまま食べることが出来ないので、食べやすいように切り刻んで与えます。そう、蚕は人の助けを借りなければ自力で生きることが出来ないのです。

やがて成虫して繭を作り始めます。この繭が絹になるのですが、そのために繭を作った蚕は人のために命を捧げることになります。繭を取り出した後は絹に仕上げるための作業に入ります。伝統を引き継いだ職人が絹に仕上げていく技術は簡単ではありません。繭に人の技術を付け加えていかなければ人を魅了する絹にならないのです。細かい作業の末に絹が仕上がります。

麻の技術も絹の技術も伝統的な技術によって生み出されるもので、麻を育てる、蚕を育てるだけでは人が使えるものにならいのです。自然のモノを技術によって使えるモノに仕上げることは神に近づくような営みに思います。神に近づくために自然界の生あるもの達は人間に命を捧げてくれるのです。この伝統的な技術があって、人は自然からの恩恵を受けていることに気づかなければなりません。

私達の身の回りにあるものは自然と人間の技術によって誕生させてくれたものですから、無駄なもの、不必要なものはありません。製品になるために命を捧げてくれた生き物がいますし、その命をもらって技術によって生まれ変わらせた人がいます。全てのものは脈々と引き継がれてきた技術によって生まれているので簡単なものはないのです。その証拠に私達は身の回りにある多くのモノを自分一人で作り出すことはできません。

だからモノを大切にすることは命を大切にすることなのです。

お悔やみ

闘病の末、弟さんを亡くされた宅を訪ねた時のことです。1年間、癌治療にあたり懸命に闘病生活をしてきた弟さんを亡くした、お母さんとお姉さんを訪ねてお悔やみの言葉を伝えました。そして癌と戦い、最後まで懸命に耐え抜いた様子を聞かせてもらいました。何もできなかったと無念さを感じながらも、弟さんの最後の言葉を伝えてもらいました。

それは「ありがとう」と「感謝している」の言葉だったそうです。闘病で苦しんでいたにも関わらず「人生は悪くなかった」。そして「ありがとう」と「感謝しています」の言葉を残したのです。この言葉を聞いて「弟がそう思ってくれていたことが救いです」と思ったそうです。

最後に残したこの言葉はとてもきれいだと思います。思いの詰まった闘病中の思い出話をたくさん聞かせてもらいました。人生の中にはたくさんの思い出がある。悲しいけれども、とても素晴らしいことだと関しています。