活動報告・レポート
2021年4月17日(土)
時の絲ぐるま
時の絲ぐるま
時の絲ぐるま

伊太祁曽神社で開催された映画「時の絲ぐるま」上映会に参加しました。奥宮司さんからこの映画と和歌山県との関わりを解説してもらったことで、映画の意味を分かりながら鑑賞することができました。また映画終了後、石井友規監督からこの映画を撮影した意味を解説してくれました。映画も然ることながら、二人の方から解説を聞けたことは勉強になりました。

石井監督からの話を基にして説明します。

この映画で伝えたかったことは命と伝統です。命とは人間は命をいただいて生かせてもらっている存在であることに、感謝しなければならないことです。映画の中で「おかいこさん」が登場します。これは蚕のことですが、愛知県で蚕から絹糸を生産している方を紹介しています。蚕は成虫になろうとして繭をつくります。この繭が絹糸の原材料になるので、繭をつくった段階で蚕は死ぬことになります。つまり成虫になることなく人間のために死んでいくわけです。このことは命を犠牲にしているのではなく、生産者として命を大切に扱わせていただいていると思っていると伝えてくれました。蚕は繭になった時、人間に命を奪われると思っていません。

成虫になるために繭を作っているのです。人間はその大事な命をいただいているので、生産者の言葉を借りると「命に感謝できない人はこの仕事をやる資格はありません。扱ってもらったら困ります」ということになります。

蚕の命は「神様に捧げるためにいただいている」意識を持っていただいているということです。

つまり絹糸は最高級の糸であり、神様への感謝の気持ちを伝えるために生産しているものであって、人のために犠牲にしているのではないということです。神様への感謝の気持ちを表すために命を捧げてもらっているという考えです。

このようにモノづくりとは、神様への感謝の気持ちを表すお供え物から始まったものです。モノを粗末に扱ってはいけないのは、人間が作ったモノは神様への感謝の気持ちから生まれたものだからです。

蚕の命、牛の命、豚の命など、全て命は人間のために犠牲になってもらっているのです。人間は生き物の命をいただいて生かしてもらっているので、常に感謝の気持ちを持たなければならないのです。食べ物を大切にするのは勿論のこと、モノも大切にしなければならない理由がここにあります。

そして伝統です。伝統とはお祀りのことであり、元々は五穀豊穣を願っての式典をお祀りと言います。その象徴がお米であり、お米は神様に捧げるものであり命の素なのです。お米は土と水、太陽の光があって初めて作られるものですから、日本人にとって神様が与えてくれた奇跡の粒です。お米を神様にお供えするのは命の恵みに感謝するためです。その感謝の気持ちを表すことがお祀りの意味なのです。

時の絲ぐるま

ところが近年はお祭りとなりエンターテイメントになっています。神輿や踊りなど、楽しいことがお祭りであり人が集まります。ところがお祀りは地味なので人が集まりません。そのため地域にあるお祀りは、参加者も後継者がいなくなり存続の危機にあります。

お祀りの意味を知らない人が増えているので、エンターテイメント性のないお祀りには参加しなくなっています。つまり日本全国で伝統が失われつつあるということです。伝統とはお祀りであり神様への感謝の気持ちを伝える式典です。伝統を失うことは神様への感謝の気持ちも薄らいでいるということなので、日本人としては由々しき問題です。伝統を護ることは神様への感謝の気持ちを抱くことであり日本国の根幹の問題です。

日本人が作るモノは精巧で美しい、そして楽しいが込められているので、日本製品は世界で人気があります。それは伝統を受け継いでいるからであり、そのことは神様への感謝の気持ちを示すお供え物を作らせてもらっている意識があるからです。

時の絲ぐるま

その気持ちを忘れてしまうと日本人のモノづくりは単なる物を生産するだけになり、世界で通用しなくなると思うのです。大量生産される物と、日本人が伝統を守って作りだすモノとは違うものだと思います。

石井監督は映画「時の絲ぐるま」を通じて、命と伝統を守ることの大切さを伝えてくれました。

人間は命をいただいて生かされていること。伝統は神様への感謝の気持ちを表すこと。日本人として、この気持ちを大切にしたいと思います。

その他
  • 土曜日にも関わらず会議を開催しました。来週、開催する予定のテレビ会議に向けての意思疎通と質疑などの打ち合わせをするためです。休日にも関わらず参加してくれた関係者の皆さんに深く感謝しています。良い成果をあげることに全力を尽くしています。
    成果をあげるためには信頼関係が基礎となりますから、議論と共に信頼関係が強化されていることを実感しています。
  • 大阪や奈良から仕事の打ち合わせのため来県してくれました。和歌山県も感染者が拡大していることから、万全の注意を取りながら詳細を詰めていきました。雨天、そして大変な状況の中、来てくれた皆さんに感謝しています。