和歌山県伊都郡かつらぎ町役場を訪問し、町長、教育長を始めとする職員さんと「かつらぎ町における体力づくり」の取り組みについての意見交換を行いました。かつらぎ町では平成25年度に「健康寿命日本一宣言」をしています。それを目指すため平成29年度に「健康寿命日本一推進計画」を策定し、介護予防事業や健康づくり事業を進めています。説明を伺って、この取り組みは先進的だと感じています。
まずは「フレイル」の取り組みです。県内の市町で「フレイル」の取り組みを行っているところは少ないと認識しているので、かつらぎ町が先進地だと思います。
「フレイル」とは、加齢と共に心身の活力が低下した状態のことを言います。心身の活力とは、筋力と認知機能、そして社会とのつながりが低下していることを言います。また日本語では虚弱と表現でき、要介護の手前の状態のことです。
「フレイル」になる状態を予防することを目的とした「フレイルチェック」を行っていますが、そのために「フレイルサポーター」を町として養成している点が特筆ものです。養成講座では理学療法士による講義と実技を実施し、地域で開催している「フレイルチェック教室」に参加してもらってサポーターとして認定されます。サポーターは現在57人を養成しており、地域で開催される「フレイルチェック教室」で活動しています。
これまで教室は25回も開催されているように、地域ごとに開催して参加者に参加してもらっています。
これまで経験から、役場主催で役場付近の施設で開催するよりも、地域ごとに出向いて開催する方が、参加者が集まりやすい傾向があります。それは気軽に参加できる環境があるからで、今後はさらに地域密着型の教室を目指したいと話してくれました。問題は教室開催のための予算です。一般会計予算の大枠は決まっているので、新たに事業費を捻出することは容易ではないからです。新規事業展開の予算面での難しさを感じます。
また教育委員会でも総合型地域スポーツクラブや小中学校での体力向上プロジェクトチームとしての取り組みを実践しています。子ども達の体力を向上させることで健康づくりにつながり、体力と健康を土台として学力が伸びることにつながると確信して、それを目指した取り組みを行っていることを理解できました。
かつらぎ町では高齢者と子どもの健康と体力づくりの具体策を実践しているので、健康寿命の延伸を目指しています。これらの取り組みも相まって、令和2年、町では転出人口を転入人口が上回ったようです。令和元年は転出人口が121人上回っていたのですが、令和2年は転入人口が1人増加しています。単純計算で120人の人口減少が止まっていることになります。かつらぎ町では「若い人が住みやすい」街づくりを目指していますが、その基礎が健康推進事業にあります。
また子どもの教育方針として「〜ここというとき、力を発揮できる、粘れる子〜児童生徒の体力向上」を目指しているのです。そのためには体力向上のため「やる、やり続ける」ためのしくみづくりに取り組んでいます。その結果、子ども達の学校と家庭の生活環境を整えることにつながっているようです。
このようにかつらぎ町では高齢者の健康づくりと子ども達の体力向上を目指した取り組みによって健康寿命日本一を実践しているのです。町全体の平均値を上げることは難しいことですが、目標を掲げて具体策を実践していることが分かりました。
和歌山県は言うまでもなく健康寿命日本一を掲げた取り組みを推進していますが、目標達成までの道のりは険しいのはこれまでの経緯から自覚しているところです。
「フレイル」を始めとする先進的な取り組みを実践しているかつらぎ町には、健康寿命の取り組みで和歌山県をリードしてくれることを期待しています。