和歌山県へのハイテク企業の誘致に関わる会議を行いました。りんくうタウンにあるゲートタワー内の事務所において、誘致に関わってくれている関係者の方々と協議を行ったものです。
コロナ禍において製造業の中には、組み立てに必要な部品の調達ができていない業種もあります。国内で部材を調達できないことから組み立てができないことから製品の供給を縮小することや作業を一時中止にする企業も発生しています。これらは企業の生産活動に影響を与えていますし、国内産業の弱さを垣間見たように感じます。組み立てに必要な部材は価格の安いところから調達することはグローバル経済下では当然のことですが、国内産業の主力業種で部材が不足しているために製造できない状況は考え直す必要があります。
かつては高い技術力が必要な部材や製品は日本の得意分野でしたが、知らない間にアジアの国々に生産拠点は移っています。台湾や中国、韓国の企業は高い技術力を持ち、わが国では対応できない部材も製造するようになっているのです。わが国よりもアジアの国でハイテク産業が進んでいる分野があることが現実であり、将来の課題だと捉えています。今回のような非常時において、世界の市場で優位性を高めるためにも、国内で供給できる体制を整えることを目指すべきだと考えて、誘致に向けた活動をしているところです。
誘致のための条件は200ha程度の広い工業用地、電力供給体制が整っていること、そして大量の水を用意できることです。日本の強みを生かした安定で高品質なインフラを整えておくことが必要となります。
リモートでつないだある国の方からは「日本の強みは優れた設備、優秀な人材、高品質の材料そして成熟した市場にあります」と話してくれました。これらの条件は外国企業にとって投資するのに適しており、日本に進出することは政情が安定していることや世界に通用する高いブランドイメージを含めて魅力的だと言うことです。
そして「インフラの整った広大な用地が必要であり、首都圏など土地が高くては進出の対象になりません。また国際空港が近接していることは必須なので、これらの条件に合った県はそれほど多くありません。アジアから見ると、和歌山県は進出のための条件を満たしていると考えています」ということです。
そしてやはり工場には電力と水の問題となりました。進出する用地には安定した電力が必要であることに加えて、近年は「RE100」に適合した電力供給が可能なことが進出条件になっています。これは地元の電力会社の協力がなければ実現しない条件です。
また工業用に大量の水を確保できる県は少ないので「和歌山県として整えてくれることを期待しています」ということです。
将来の工業団地において地球環境問題への対応は避けられない課題であり、グリーン電力や廃棄物を排出させないこと、そして全ての進出企業がカーボン・ニュートラルを達成するなど、循環型の工業団地に仕上げることは世界企業にとって絶対的な条件です。
かつて和歌山県知事が「和歌山県は日本のシリコンバレイを目指したい」と話したことがあると聞きました。これは素晴らしい発想であり、それを実現するために進出企業が望むインフラや世界企業が世界市場を相手にするために希望する条件を整えて欲しいと思います。という話です。
世界企業と進出の協議ができることを嬉しく思いますし、進出のための具体的な条件を要望してくれることで可能性はあるものと考えています。受け入れるための条件を全て整えることは容易ではありませんが、多くの方々の協力を得て話し合いを継続しています。