活動報告・レポート
2021年2月9日(火)
学生への講義
学生への講義

和歌山大学経済学部三回生の生徒に講義を行いました。学ぶことに熱心な学生さんで、エネルギー問題の現状と将来や、物の見方について話をしました。少しでも知識を得て物の見方を広げるなどの勉強になれば幸いです。

エネルギー問題はわが国だけの問題ではなく、地球規模で、最低限先進国では考えるべきテーマになっています。言うまでもなく2050年にカーボン・ニュートラルを目指すわが国が、目標を達成するために実行すべきことを考える必要があります。特に20歳代の方がこの問題を考えることが重要なのは、彼、彼女達が現在から2050年までの時代の中心を担うことになるからです。私達が取り組んでいることを引き継いで発展させることは現在の20歳代の皆さんの役割になります。ですから私達の現状認識と現在の対策、そして10年後、20年後、最終30年後まで段階的にやるべきことを整理して伝えました。

勿論のことですが、現時点での将来見通しなので、来年の今頃の見通しは技術革新や社会情勢の変化、時代の価値観などによって変わることは当然であることが前提です。しかし見通しが不透明だからと言って、将来の展望を示さないことには時代を進めることは出来ません。現状で最善の対策を考えて実行を目指すことが現役世代のやるべきことです。

ただ2050年のカーボン・ニュートラル達成は、政府やマスコミが言うほど容易ではありません。産業活動を低下させないで実現することは、エネルギー源を変えてしまうことや運輸のしくみ、生活まで変える必要があるからです。しかも現在の利便性を低下させないで維持、または快適性を増したうえでカーボンゼロを達成する必要性を考えると、容易ではないことが想像できます。果たして化石燃料を使わない発電方法で未来の社会は成り立つのか。トラックや貨物などの大型の電気自動車だけが走っている社会を実現できるのか。「RE100」だけで日本の社会は世界と競争できる産業構造になっているのかなど、不確定な要素ばかりです。

ただ社会には穴埋め式の問題の様に正解も間違いもありません。正解か不正解かはやってみないと分からないのです。学生さんに伝えたのですが、同じテーマで論文を書いたとしても、論文の結論を導くまでの展開は全て違うことです。若いからと言って遠慮する必要はなく、経験者の意見が正解に近いとは限らないので主張はすべきです。但し年長者への尊敬の気持ちは持った言葉遣いにすべきで、発言を否定するのではなくて「こんな考え方もありますよ」といった形で説明したいものです。

ですから同じテーマで論文を書くことで色々な人の考え方を知ることが出来るので、それを自分の中で消化して、それぞれの考え方の良いところを取り入れた提案ができることは、その人の成長だと思います。どんどん人の意見や考え方の良いところは取り入れるようにする方が良いと思います。

でもカーボン・ニュートラルを達成することは容易ではないからと言って、この問題を放置することはできません。社会や世界が求めている達成すべき価値だからです。なので「自分がこの難しい課題に挑戦できる立場にある」ことを誇りとして、年月をかけて取り組んで欲しいと思います。歴史を見ても社会は常に発展し続けています。しかも発展の様子は現在を否定して過去と現在を断絶させるものではなく、発展は現在社会の延長線上にあるということです。

まずは社会に存在している資源、インフラなどの人類の叡智を生かしながら、それを発展させていくことに着想して欲しいと思います。

今はまだ次代を担う直前ですから、知りたいことや分からないことは先輩に聞いて学ぶ機会を増やしてください。インターネットで得ることも大事ですが、身近な人が経験したことを聞くことは大きな学びになります。これから社会人になるための難関を突破して、時代を託せる人として成長することを期待しています。

その他
  • 和歌山市内での政策研修会に参加しました。東京の講師とリモートでつないで講義を受けました。移動しなくても勉強できる社会のしくみが整っていることを有り難く感じています。
  • 学校教育について関係者と協議を行いました。世界を舞台にする年代への教育は、情報、英語、AIなどの先端技術の学びが必要だと思います。勿論、日本人としての精神と基礎があってのことですが。