高齢者施設を訪ねて事務長と懇談しました。施設運営について大切にしていることを話してくれました。
この施設には理事長の思いが全て詰まっています。何度も建築物を見に行ったことや、県外の高齢者施設を訪ねて最高の施設を作ろうとしたのです。その思いは建物のデザインや内装に現れていると思います。それ以上に働く人には優しさを求めているので、良い職員さんが働いてくれています。入居者には優しく、仕事は丁寧にすることは勿論のことですが、入居者の皆さんには笑顔で接しすることができる人、自分から進んで話しかけられる人を採用しています。
それは入居者の皆さんと会話が出来る職員さんでなければ、施設の雰囲気は良くなりませんしお互いの心は通じません。採用に当たっては、入居者に話しかけられる人が絶対条件です。
その思いを共有しているので入居者の皆さんからは「ここで暮らせて嬉しい」、子ども達からは「ここでお世話になって分かったと思っています」などの意見をいただいています。
理事長の当初からの思いが実現できていると思います。
と話してくれました。
そのために、新型コロナウイルスの感染者は絶対に発生させないことを念頭に置いた生活習慣と衛生管理を徹底しています。少しの埃も見逃さない行き届いた清掃や、来訪者を含めて手洗いとマスク着用、消毒、お互いの距離を確保することなどを徹底しています。
スタッフが衛生管理に徹することと、安全意識を持つことで感染を防ぐことができると思いますから、見えない心掛けを行動で見えるように保っていることが印象に残りました。
和歌山大学システム工学部の秋山演亮教授を訪ねて、宇宙教育や宇宙関連産業について話し合いました。秋山先生は高校生を対象とした「缶サット甲子園」を実施している他、学生に宇宙を教材とした実践教育を行っています。コスモパーク加太での「缶サット甲子園」は地元では定着しているイベントですが、これを継続していることから県内高校は、全国レベルの強豪校になっています。この協議のためには直径500メートルの会場が必要なので、全国でも開催できる地域は限られているのです。コスモパーク加太は缶サットが開催できる環境にある場所なので、この視点からも和歌山県は宇宙に近い県だと思います。
宇宙開発には完璧な技術が求められるので、絶対に失敗は許されません。しかしそれは専門家になってからのことです。高校生や大学生の時代は、例えばロケット発射に失敗することで技術や考え方を学んでいきます。
学生にはトライ・アンド・エラーが求められているのです。エラーを体験するためにはトライしなければなりません。トライしないでエラーはありませんから、「まずトライすることを教えています」ということです。
失敗の許されない宇宙を目指すには、学生時代にエラーを何度も体験することが必要なのです。エラーから学ぶことができるのは、失敗の原因を自分で考えようとするからです。
宇宙というと宇宙飛行士や研究者のイメージがありますが、それはごくごく一部の人に過ぎません。多くの人は設計図に基づいて正確にロケットなどを組み立てられる人、正確に飛行距離などを測れる人が求められています。つまり実際にモノを作れる人、モノを測れる人など、実体験をしている人が求められている人材なのです。宇宙に関する知識があるだけの人は必要ありません。知っているだけで実践したことのない人、実験に参加したことのない人、チームで仕事をした経験のない人は必要ないのです。
中・高校生の時に、自分でロケットの設計図を書いて、必要な材料を考えて、材料などを買いそろえて組み立てた経験のある人が必要な人材になれるのです。
ですから実際の宇宙教育では、機械工作、電子工作、プログラミングなどを学ぶ必要があります。講義を聴くだけ、見学するだけでは足りないのです。だから宇宙教育においては、打ち上げの実験場や燃焼実験場が必要となります。コスモパーク加太は、実験場として適した場所であり、利便性もあり国内でも宇宙を学ぶのに適した場所になっています。
ここを「缶サット甲子園」を目指す学生たちの聖地になれたら和歌山県にとって宝物になります。理系の中・高校生、大学生が集まってくるからです。地名も「コスモパーク」ですから宇宙を学ぶためにできた場所のように思います。
地元の和歌山大学と宇宙関連産業、そして和歌山県が連携することによって宇宙教育と産業の聖地になれる可能性があります。場所の確保、事業者の参画、資金確保、教育機会の創出などを揃えて、実現に向かわせることを話し合いました。
話し合いの後、研究室でロケット製作のための材料、学生が考えている設計図などを見せてもらいました。ここでは学生が自分で考えて実機を作ることを学ばせています。
そして秋山先生は大事なことを話してくれました。「学生には『設計図を描いている時や、製作をしている時に感じたことや得た知識などはメモを取っておくように』と伝えています。そのメモは自分が発見したノウハウが記載されているので、メモの内容を本にすれば売れるかもしれない宝物になっているからです」ということです。
やはりメモを取ることはとても大切です。