活動報告・レポート
2021年1月20日(水)
リモート会議
リモート会議

世界企業を対象とした誘致に関するリモート会議を行いました。府県は違っても、移動しなくても意志疎通を図れるので、コロナ禍においても不便さを感じないしくみができつつあると感じています。事前に資料を添付しておくことで会議の内容も深まりますし、同じ場にいるような空気感を持って議論できることは凄いと思います。

但し、一度でも会っていることや信頼関係で結ばれていることなどがリモート会議を成功させるための条件になります。これまで交流のない人との突然のリモート会議では意思疎通が図れないと思います。

今日の目的は、これまで議論してきた内容の方向性を確認することにあります。スタートの段階で意思統一を図ることがとても大切だと認識しています。最初の小さなズレが、計画が進むに連れて大きな乖離になることは珍しいことではないからです。

1.外国から見ると、和歌山県は日本の中心に位置している心臓部であり、東西の交通の要所であり地の利があります。関西空港に近接していることから外国とのゲートウェイになれる場所だと思います。大阪府に近く関西空港と南紀白浜空港があるので、ビジネスに適した県だと考えています。

2.これからの国際ビジネスはビジネスジェットの時代に入ります。ビジネスジェットは富裕層だけが利用するものではなくて、もう通常でも利用される時代です。国際ビジネスにはビジネスジェットとエアタクシーが求められているので、南紀白浜空港を有していることが利点になります。
ですから南紀白浜空港に駐機場が必要となります。

3.日本は優秀な人材、サプライ、整った設備がありますから、日本と組むことで技術力をアップできる環境にあります。逆に日本は外国企業と組まないことには単独でグローバル化に対応できないので沈んでいくと思います。半導体や宇宙関連事業、電気機器や情報通信など、既にどの分野でも世界一の企業は日本以外の国にあります。世界市場を握っているこれらの外国企業と日本が組むべきです。

4.現在、GAFAが世界を動かしていますし、今後の世界で更に支配力が強くなると予測しています。世界を変えている企業であることに違いはありません。しかし必ず次のGAFAは誕生します。それはAPECであり、技術と市場から考えると日本や台湾であり、日本の中では関西が中心になると考えています。

5.世界企業は「RE100」に加盟している企業だと認識してください。世界を相手にしている企業は「RE100」のビジョンを持っていますから、和歌山県の大規模な企業立地はこの基準を満たすインフラ設備を整える必要があります。でないと「進出に適切でない」と判断されます。
参考までに「RE100」とは次の通りです。

1.RE100について
国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)によって2014年に発足された国際イニシアチブです。設立の目的は、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することによる将来的な脱炭素化社会への移行です。
現在、パリ協定以降、脱炭素化は国だけでなく企業にとっても大きな課題です。脱炭素化への取り組みが企業価値に直結している時代になっているので、投資家の判断材料の一つとしても重視されています。RE100に加盟することで環境先進企業として認められています。加盟企業は、2020年4月11日現在で、世界で230社、日本で33社が加盟しています。

2.加盟条件について
企業は事業運営を100%再生可能エネルギーで行うことを宣言する必要があります。それに加えていくつかの基準を満たす必要があります。その中の基準を二つ紹介します。

・基準1 影響力がある企業であること
以下4つ条件のうち1つ以上に当てはまる必要があります。
1.世界的な企業、または国内で認知度や信頼度が高い企業
2.主要な多国籍企業
3.電力消費量が100GWh(日本企業は50GWh以上)の企業
4.RE100の目的に貢献できる特徴や影響力を持っている企業

・基準2 「すべての企業活動」において再生可能エネルギー100%利用を達成することに対して、公約する意志があること
以下の条件のうち、どれかに当てはまる必要があります。
1.すでに再エネの100%利用を達成している
2.未達成であるが、100%利用達成のための実施スケジュールを伴う明確な戦略を持っている
3.上記に当てはまらないが、RE100参加から12ヶ月以内に、100%利用達成のための明確なロードマップを策定することを公約している

6.ハイテク企業は大量の電気と水を必要とします。工業用地に大量の電気と水の供給が必要となります。工業用地は完全に「RE100」対応の用地にする必要があります。

7.情報の時代ですからデータセンターの設置は必須です。世界では約250GWの電力が不足していると言われています。日本でも「RE100」に対応し、将来の電力不足に対応する必要があります。データセンターのある工業用地は付加価値が高くなることを認識しておいてください。

8.ポストコロナの時代は日本流に表現すると「産業維新」です。人がやっていることを後追いでやっても意味がありません。産業維新の中心を目指した企業誘致をすべきです。

9.世界企業を誘致するためには投資、地元、運営の役割分担が必要です。全てを担当することはできませんから、役割分担できる人材の配置が必要です。目指すべきは2025年の関西万博です。万博会場を訪れる外国人に和歌山県に立ち寄ってもらう必要があります。そのために今から「世界企業モデル」の工業用地を整備しておくことです。

10.次世代のグリーンエネルギーとして工業用地内で水素の製造が不可欠です。2025年の関西万博でも水素が使われますし、クリーンエネルギーを使っての水素の製造工場も必要となります。和歌山県は海に面している面積が多いので、水素の国内、国外への輸出が可能な場所です。和歌山県には水素の製造拠点になって欲しいと思います。

11.ビジネスは投資がなければ実現はできません。現在、香港とシンガポールがアジアの金融センターの役割を果たしていますが、香港は機能しなくなると予想していますし、その次はシンガポールが厳しくなります。日本の金融にとっては大きなチャンスです。地元金融が世界的な視点を持ち投資できる体制を整えて欲しいと思います。そうでなければ世界企業は金融と共にありますから、100パーセント外資になれば地元に資金がまわらなくなります。和歌山県経済のためには地元50、企業50の比率で出資することが望ましい考え方です。

昨年から和歌山県の将来にとって大切な議論を交わしています。議論していることの実現に向けて懸命に取り組んでいます。