茶人の梅原さんが訪ねてくれました。彼は高野山を拠点として国内外に関わらず日本文化であるお茶の普及に取り組んでいますが、コロナ禍において文化活動も縮小を余儀なくされています。これまでも高野山を訪れた外国人観光客に対して日本茶の文化を伝えてくれたり、外国に向けたお茶文化の発信もしてくれています。
そこでリモートを活用して文化活動ができないものかを話し合いました。お茶だけではなく芸能や音楽を交えエンターテイメント性を持たせることで、発信できる形に仕上げることなどを協議しました。
続いて、和歌山県有田川町出身の明恵上人について話し合いました。明恵上人は高山寺に茶園を作ったとされており、これが日本最古の茶園として残っています。抹茶は空海が中国から持ち帰ったとされていますが、飲むことができたのは天皇や貴族、高僧などに限られていたと言われています。当時、多くの人は抹茶を飲むことができなかったので、主に白湯を飲んでいたと言われています。
そんな時代、日本臨済宗の開祖である栄西が宋から持ち帰った茶の実を明恵上人に贈ったのです。そのお茶を高山寺に植えたのが普及の始まりで、上人は茶の木を育ててお茶を飲むことを勧めたと言われています。普及を促進した理由の一つとして、お茶には眠りを覚ます作用があることを知ったからとも言われているようです。
現在、明恵上人の生誕地である吉原遺跡後にも茶の木が植えられていると聞きました。
このように明恵上人が抹茶を普及したこともあり、和歌山県は日本茶を普及させた県だと言うことです。昨年夏、コロナ禍でマスクなどが不足した時、台湾の台東県からゴーグルやカッパをいただきましたが、それもお茶がご縁を取り持ってくれたものです。その時、高級品である台湾茶の産地と、明恵上人の生まれた和歌山県、そして千利休の堺市をお茶という文化でつなぐことを話し合いました。
コロナ禍が収まらないことから、この話し合いは延期されていますが、交流を進めたいと思うので、日本茶のルーツである和歌山県と明恵上人について話し合ったものです。お茶という文化、そして外国の方をおもてなしできる日本が誇るエンターテイメントとも言えるのがお茶の道です。お茶でつなぐことのできる、日台の文化交流を進めることを考えています。日本茶を国民に広く普及した明恵上人も和歌山県が誇る偉人です。
和歌山県立向陽高校を訪ね、鈴木校長先生と山本竜士先生とお会いし、少林寺拳法部の「不撓不屈」の旗を見せてもらいました。この旗は、以前、小野田寛郎さんが向陽高校で講演を実施した時に持参し、同校の少林寺拳法部に寄贈してくれたものです。
その時から現在に至るまでの少林寺拳法部の顧問の先生が山本竜士先生で、先生からその精神について学びました。向陽高校で山本先生が少林寺拳法部の顧問に就任してから、全国大会で三度の優勝を果たしていることを聞きました。和歌山県では勿論、全国大会で三度も優勝をしている強豪部だったのです。
山本先生から話を伺うと、先生が少林寺拳法部の顧問を引き継いだ先生が小野田先生、つまり宇賀部神社の小野田宮司だということです。そのご縁があって小野田寛郎さんが向陽高校で講演をしてくれたようです。なお鈴木校長先生も、小野田宮司と向陽高校で教師をしていた期間があったことも伝えてくれました。ご縁はこのように未来につながっているものだと感心しました。
山本顧問に「小野田さんが寄贈してくれた旗に記された『不撓不屈』の精神は受け継がれていますか」と質問したところ、
勿論、受け継いでいます。対外試合の時には、この「不撓不屈」の旗を会場に持っていき、試合会場の応援席に掲揚しているほどです。試合で勝つことも大事ですが、部活では、相手を倒すことだけではなく、精神力を鍛えて戦っている頼れる自分になることを教えていますし、それが生きる力だと考えて指導しています。少林寺拳法には組手と言う競技があります。二人が普段の稽古で技と人格を向上させていなければならないものです。ですから技だけではなく心の鍛錬も必要だと考えて稽古を行っています。向陽高校がこれまで三度の全国大会で優勝をしたのは、技と共に優れた精神力の鍛錬したことによるものです。
笑い話ですが「向陽高校の少林寺拳法部は文化部か」と言われるぐらいに心を鍛えています。
心を鍛える方法は自分の言葉で少林寺拳法の精神を語れること。人間にとって大事なことを自分の言葉で話せること。そして組手や試合相手を思いやる気持ちを持って戦いに挑むこと、などを教えているのです。
お互いに助け合いながら、社会の不正に立ち向かおうとする心と行動力を持った人間になるよう稽古を行っています。クラブの卒業生とは、今でも年に二回、集まる機会を設けていますし、高校を卒業して逞しく成長した教え子に会うことを楽しみにしています。ここの生徒は、心が清くて優しい、そして正義感を持っていることを誇りに思っています。
「不撓不屈」の精神は勿論のこと、心の鍛錬をしているので全国大会に出場ができ、強豪校として名前が挙がっていると思います。
と話してくれました。素晴らしい顧問の山本先生の言葉です。
それにしても向陽高校の少林寺拳法部が全国大会に出場して、三度の優勝をしていることは知りませんでした。心身ともに鍛え、文武両道を目指している姿を頼もしく思います。
なお、少林寺拳法の心構えを教えてもらいましたが、最後にひとつ記します。
今期と努力が凡人を非凡にする唯一の方法です。数をかけることが上達の第一条件です。数をかけるとは「人、十度、我、百度」を実践することです。