活動報告・レポート
2021年1月8日(金)
地方鉄道
地方鉄道

コロナ禍において、どの業種でも経営環境は厳しいのですが、地方鉄道も利用客が減少していることから厳しさを増しています。和歌山市と紀の川市を結ぶ地方鉄道が貴志川線です。主に沿線の方々が通勤通学として利用しています。昨年春からはリモートワークの実施や休校やリモート授業の影響を受けて固定客が減少しています。通勤や通学の日数が短くなり、不規則になっていることから、定期券よりも都度、切符を購入するなど経費削減を行っているので売り上げが落ちているようです。

そこにインバウンドのお客さんが大幅に減少、もっと言えばゼロになっているため昼間の利用客が大きく減少しています。貴志川線の終着駅である貴志駅の「たま駅長」見るため、台湾からの観光客が多かったのですがゼロになっていることから、大きく収入が減少しているのです。

通勤通学とインバウンドのお客さんが収益の柱になっていますが、どちらも利用者減の影響を受けています。「コロナ禍の下、貴志駅の人は少ないので、今は『たま駅長』の写真を簡単に撮影することができます。観光客が多かった時期は『たま駅長』の周囲に人が溢れていたので写真撮影はできない程でした。今は本当に利用客が少なくなっています」と話してくれた程です。

沿線の方は「このままでは和歌山県と和歌山市、そして紀の川市の補助制度が終える年度で貴志川線は廃線になってしまう懸念があります。コロナ禍の下、存続のためにできることはないので困っています」ということです。

他県の地方鉄道も同じような状況だと思うので、グッズのネット販売などを行って売り上げを伸ばそうとしていますが、やはり本業の鉄道の利用客を増やさないことには長期的な収益確保につながらないと思います。本業がしっかりしている上でのグッズ販売があると思いますから、短期的な取り組みの効果は限定的になります。

ただリモートワークやリモート授業、仕事帰りの飲食の縮小など、社会のしくみが大きく変わっている中、仮に収束した後であっても、利用客が戻るとは限りません。むしろ社会のしくみが変わっていることから、適応しなければならないのです。

でも地方鉄道は大手鉄道と違って、沿線の住宅開発や商業施設の設置など大規模な開発はできないので自助の取り組みには限界があります。地方自治体との連携、支援を受けながら存続させる必要性もありますから、補助制度の継続やその他の支援策の検討が必要となってきます。もし沿線の地方自治体から必要な支援が受けられないなら、将来に亘る存続は厳しいという結論もあり得ると思います。

沿線の方々の利用促進や観光客の誘客などは行うとしても、地方鉄道の広報予算では限りがありますから県市との連携が必要です。

ここに少子化に伴う高校再編の問題が絡んでくることになれば、貴志川線の存続にも影響を及ぼすことになります。沿線の方々の熱意と行動によって存続となり、運営会社の優れたアイデアと取り組みによってお客さんが戻り回復基調にあった貴志川線ですが、コロナ禍にあって苦戦を強いられています。

存続のための具体的なアイデアには至りませんでしたが、話し合いによって危機感を持って対応する必要性を感じています。地方都市における地方鉄道の存続は、和歌山県にとっての課題だと認識しています。地方鉄道が維持できない県市であるなら、都市としての能力が低下していると思うからです。引き続き対応していくつもりです。

その他
  • 教育者と学校教育、生徒との接し方、能力を伸ばすことなどに関して意見交換を行いました。熱心に子ども達のことを考えてくれている教育者がいることを頼もしく感じています。
  • 和歌山県の病院における新型コロナウイルス感染者の入院の受け入れに関しての問い合わせをいただいています。病床は足りているのか、看護師さんの処遇はできているのかなど不安に感じている人が増えているように感じます。不安にならないためにも、適切な情報発信が必要だと考えています。