県議会一般質問は二日目を迎えました。今日も4人の議員が登壇し、コロナ禍における県の対策や高校再編などの議論が交わされました。議論を交わすことで問題点が整理されていくと共に、当局の認識をそこに向かせることで問題解決に向けて動き出します。それぞれの議員によって取り上げる課題や論点、説得の方法などが異なるので勉強になりますし、違う視点での物事の捉え方を知ることはものさしが増えるので役立ちます。
本会議開催中でもあり、県庁内である経営者と懇談しました。県政の課題に関して懇談したのですが、その中で自らの経験談を話してくれました。
これまでの経験で、苦労している時やしんどい時に助けてもらった人のご恩を忘れてはいけないと思います。以前、ある会社の社長が訪ねてきました。「会社の情勢が厳しいので助けて欲しい。できたら取引したい会社があるので紹介して欲しい」という依頼でした。
困っていることが分かったので、直ぐにその会社の社長に電話をしてから訪問したそうです。その社長は「分かりました。あなたの依頼だから何とかします」と言って取引をしてくれることになったのです。
その後、発注をしてくれたことから、困っている会社の売り上げは伸びていきました。噂で困っていた会社の売り上げが伸びていることを聞いていたので「良かったなぁ」と思ったのです。そして「また挨拶に来てくれるだろう」と思っていたのですが、その後、訪ねてくることもなければ、電話もなかったそうです。
「立ち直ったのなら、挨拶ぐらい来てくれたら良いのに。でも順調ならそれでいいわ」と思っていたのです。
数年後、あの時、困っていた社長が訪ねてきたのです。そして「お願いがあります。会社の売り上げが落ちているので助けて欲しい」という依頼だったのです。その取引先との取引期間は終了したことが原因でした。
この依頼に対して「以前、あなたが困っている時に頼みに来たから、その会社を紹介したでしょう。その結果報告も聞いていなければ、あれから一度も会っていないですよ。また困ったからと言ってお願いに来られても、『はい、そうですか』とはならないのが人の感情です。恩を受けたらその恩返しをすること。せめて『ありがとう』の言葉だけでも伝えに来るべきではないでしょうか。人の人との関係は、困っている時に助けてくれた人のご恩を忘れないことでしょう。そしていつか恩返しをすることが人として当たり前のことであり、大事なことだと思います」と伝えたそうです。
それでも「何とかしてくれませんか」とお願いされたので、「困っているから」と思ってその依頼に応えたのです。しかし、同じことが繰り返されました。紹介した先の会社にはべったりするようになったのですが、やはり前回と同じように、一言の挨拶もなかったそうです。「あの人は恩というものを知らない人だな。恩を知らない人は一瞬、良かったとしても長くは続かないだろう」と思ったのです。その後、その会社は倒産してしまいました。
そこで「受けたご恩は忘れてはいけません。人は苦しい時は頼みに来ますが、それが終わったら『自分一人で立ち直った』と思っているのか、会っても知らない顔をすることがあります。それでは信頼される人にはなりません。『苦しい時に助けてくれたから今がある』と思わなければならないのです。
良い時を継続するためには、受けたご恩を忘れてはならないのです。人は支え合って生きていますから、その支えがなければ行き詰るのは当然のことです。全てのことは、人が支えてくれているから上手くいくのです」
という話を伝えてくれました。
この話の通りです。困っている時に助けてくれたから今がある。そのことを忘れてしまう人は実に多いのです。上手くいったら自分。上手くいかなかったら「あの人に頼んだのにできなかった」と人の責任にしてしまいます。それでは上手くいかないのは当たり前のことです。受けたご恩は返せる時が来たらお返しすること。それが人の道だと思います。