活動報告・レポート
2020年10月31日(土)
捨て猫の問題
捨て猫の問題

最近、捨て猫の保護について問い合わせと要望が多く寄せられています。これは和歌山市内では捨て猫が増えていることと、保護したけれど「どこで預かってくれるのか分からない」という問い合わせが主なものです。

現状では捨て猫を預かってくれる施設はなく、一概には言えませんが、民間の譲渡会においては予防接種や避妊、去勢をした猫でなければ対象にならないようです。

つまり保護した人が飼うか、リリースするかの選択をすることになるのです。捨て猫を飼うことに関しては、住環境、近隣との関係、エサ代や予防接種などの費用負担の問題から、飼ってくれる人は多くはありません。ペットの命を大切にする思いがある人が数匹保護していることがありますが、その時間と費用、近隣との関係などの負担は大きいものがあります。

そこで和歌山県では平成28年度から「不幸な猫をなくすプロジェクト」の取り組みを行っており、地域猫対策を実施している場合などの諸条件がありますが「不妊去勢手術費用の助成」を行っています。但し、支援を受けるための提出書類が多く、捨て猫を保護した人が書類を埋めることが難しいことから「この様式は複雑過ぎて申請ができない」という意見を数多くいただいています。

そのため自費で避妊や去勢をして対応している方もいますし、自宅で数匹を飼い続けてくれている人もいます。地域猫の取り組みは、近隣の方の同意を得ることは簡単ではなく、結局は保護した個人が主体となっています。一度、保護した人はエサを与えること、排せつ物の適正処理をすることなどの役割を果たす必要があるので「無理なことが多い」状況にあります。しかし保護した猫をリリースすると、再び近隣の迷惑になるばかりか「あの人は保護した猫をまた捨てた。また猫の排泄物で迷惑している」と逆恨みをされることも発生しているようです。

特に自治会役員の方が、自治会から捨て猫の問題提起をされて保護した場合、逃がすこともできなくなるのです。保護した自治会役員が批判の対象になってしまうという空気が生まれているようです。

だから「和歌山県が本気で捨て猫対策をしてくれないと近隣のトラブルや人間関係までおかしくなってきます」という意見も寄せられています。

そうは言っても捨て猫の保護を避ける人が増えだすと、さらに捨て猫が増えていく循環に陥ってしまいます。それらの捨て猫は野生化の恐れがあり、避妊や去勢をしていないことから増え方は加速していくことになります。地域の方々の善意によって成り立っているのが、現在の捨て猫対策のようです。

保護した方からの要望は次のようなものです。

  1. 保護した猫を動物愛護センターで引き取って欲しい。
  2. 避妊や去勢費用申請様式は、書きやすいように簡素化して欲しい。保護しているのは自治会や地域の方ですから、インターネットや書類申請に慣れていないのです。
  3. 譲渡会に出す場合の予防接種などの費用負担を和歌山県が行って欲しい。
  4. 地域猫の取り組みは近隣の賛同が必要なので現実的には難しいので避妊や去勢の助成を受けるためのハードルは高いのです。

このような意見がありますから、不幸な猫を増やさないことを目指すには、制度の適用が受けやすい方法を検討する必要があると思います。和歌山県とも話し合っているところですが、継続して取り組んでいきます。

動物の殺処分率は県の文化度を示す指標だと思います。和歌山県は数値の提言を図っていますが、全国的にはまだ高い水準にあるので、さらに殺処分率を低下させるために、捨て猫対策、不幸な猫をなくす取り組みを推進したいと考えています。