活動報告・レポート
2020年10月16日(金)
FAR EAST APEC COMM CENTER
FAR EAST APEC COMM CENTER
FAR EAST APEC COMM CENTER

福岡市に拠点を置く「FAR EAST APEC COMM CENTER」の陳家慶代表理事と会議を行いました。これまでは電話とLINEなどで情報交換や打ち合わせを行ってきたのですが、取り組んでいる案件の意思疎通を図るため福岡市のオフィスを訪ねました。

具体的な会議の内容を記すことは控えますが、日本と台湾の文化と交流ビジネス、そして観光を通じた交流機会になる話し合いとなりました。交流は文化を中心にしてビジネス、台湾では商務と表現しますが、その組み合わせによって人が動きます。

陳代表理事は日本の歴史と文化をよく知っていて「日本は2680年の永い歴史があります。一つの国がこれだけ永く続いている事例はないと思います。中国が4000年続いていると言っても国家が違いますし、現在の中華人民共和国の歴史は浅いので同一国が続いてきたものではありません。その意味からすると私は日本全体が世界遺産だと思っています」と話してくれました。

FAR EAST APEC COMM CENTER

日本全体が世界遺産であり、どの県も世界遺産レベルの歴史と価値を持っているのです。この価値は直ちに作れるものではありません。陳さんは、世界の中の日本の存在価値を分かってくれています。

「日本こそ世界をリードすべき国だと思っています。ただ規制が強いので技術のレベルは高くなくなっていることが難点ですが、早くも世界一の技術国として蘇って欲しいと思います」と実情を知ったうえで、エールを贈ってくれました。

これまで台湾の技術力のことを聞いていたので、台湾のハイテク、半導体、宇宙衛星、医療機器などは世界有数のレベルであることは分かっています。その技術力があるからアメリカやヨーロッパのメーカーから大量の発注が来ているのです。台湾企業はいつの間にかハイテク分野などで技術力を高め世界トップレベルになっているのです。日本を代表する電機メーカーのシャープが台湾の鴻海精密工業に買収された時は「台湾の企業に買収」と驚きましたが、同社の実力を知った今では驚きはありません。

鴻海精密工業の創業者の郭台銘は「今日の世界は大が小を勝つことなく、ただ速いが遅いに打ち勝つのだ」の発言があるようですが、台湾の企業の意思決定の速さとスケール観には驚きます。

意思決定の速さが台湾企業の強みであり、今日の会議で、台湾の企業も国家にも共通している価値観だと感じました。

さて和歌山県の将来に向けての価値は、南紀白浜空港の国際線ターミナルとロケット射場にあります。どちらも令和3年夏から秋に竣工しますが、その価値は想像以上のものがあります。単に観光のレベルではなく、ハイテク企業の誘致と言うよりも集積、しかも世界トップレベルの企業を集積できる力があります。特に民間ロケット射場があることは他の県にはない優位性を持つもので、ロケットビジネスの企業を誘致できるものとなります。例えば人工衛星を作っている企業にも話ができることになるのです。ロケット事業、ロケットビジネスは、打ち上げることは全体の10パーセントに過ぎないので、残りの90パーセントのビジネスを誘致できる可能性を秘めているということです。

しかも南紀白浜空港は世界がその価値を認めた紀伊半島にあります。文化にビジネス機会を創出すれば、それだけで経済活動になりますが、そこに観光が付いてきますから、伸びしろがあるのです。ここを拠点とし台湾、インドネシア、パプアニューギニア、ウラジオストック、ウランバートルなどからビジネスジェットの就航は可能性があるということです。南紀白浜空港に関して和歌山県知事は「ビジネスジェットの聖地にする」と発言していますが、まさに会議の中では「ビジネスジェットの聖地にすることが可能である」と私達は確認しました。

企業の社長は4人乗り、会社の幹部の移動には50人乗りのビジネスジェットを用意すれば、エアタクシービジネスも可能になります。

そしてロケットビジネスは、アメリカにおいて始動しています。アメリカのスペースX社は、既にたくさんの人口衛星を飛ばしています。台湾の会社が人工衛星を製造してスペースX社に納品していますが、まだまだ世界的に需要は伸びると予測しています。

和歌山県の場合は、人工衛星の会社を始めとする宇宙産業の集積、宇宙訓練センターや教育機関の設置などが可能です。台湾の企業の強さは設計書があれば何でも作れる技術力の高さにあると教えてもらいました。それに対して日本の企業の強みはオペレーション力にあると見ています。台湾企業と日本企業が組むことによってその両方を結び付けることになり、世界に向けての強さを発揮することができます。

代表理事から「日本がリーダーシップを取って下さい。宇宙ビジネスに関しては、和歌山県がリーダーシップを取って下さい。ロケットビジネスは和歌山県と鹿児島県だけが機会を持っているのです。やらなければアジアの国で産業集積することになります」ということです。

和歌山県は南紀白浜空港とロケット射場によって、ビジネス機会が訪れています。これを生かすか逃すかは、和歌山県の熱意とスピードにかかっています。企業が求めているのは「進出を検討できる安心感を下さい」ということです。

台湾と和歌山県のハイテク産業などのビジネスの機会において、良いスタートを切ることができました。