活動報告・レポート
2020年8月31日(月)
障害者福祉
障害者福祉

障がい者施設の運営をしている責任者の方と懇談する機会をいただきました。「障がい者雇用に関して問題だと思う国の解釈があります。どうしても納得いかないので話を聞いてください」と先週に依頼があり、事務所を訪問しました。事務長から指摘のあった件は、「社会常識からしても、この解釈はおかしい。しかも法律に基づいたものではなく要綱に書かれているものであり、解釈に見解の相違がでる記述になっている」と思いました。滅多なことでは立腹しないこの事務長が「今まではおかしいなと思っても国や県の指導には従ってきましたが、これは明らかにおかしいので納得できません」と言うぐらいです。

複数の専門家とも相談したところ「この解釈は間違っていると思いますし、国の障がい者福祉の方向性に逆行するものです」ということでした。

この件は問題視したいと考えています。

さて障がい者福祉に関しては憲法の要請です。憲法第10条から第40条まで「国民の権利及び義務」が記されているように人権規定に基づく要請です。国は立法をすることで障がい者福祉を実現する必要があります。

国際条約では「障害者権利条約」があり、障がい者の権利の実現のための措置を規定しています。わが国は平成19年9月に署名を行い、平成26年1月20日に締結しています。世界で140か国目の条約締結ですから、先進国としては遅いと思います。

そこから順次立法化され始めています。

  1. 障害者基本法 平成23年8月5日に改正。
  2. 障害者虐待防止法 平成24年10月1日施行。
  3. 障害者優先調達推進法 平成25年4月1日施行。
  4. 障害者雇用促進法 平成25年6月改正。
  5. 障害者総合支援法 平成25年4月1日施行。
  6. 障害者差別解消法 平成28年4月1日施行。

以上のように順次法律を制定して、日本社会は障害者福祉の実現に向かっています。まだ課題はあるにしても、確実に障がい者雇用を図り人権を守る取り組みにつながっています。

和歌山県には特筆すべき数字があります。

  1. A型作業所の平均賃金は東京に次いで全国で二番目の水準にあります。
    平成30年度の平均賃金は93,415円、東京は94,429円で、全国平均は76,887円です。高い賃金水準を保っているのは、事業者が障がい者の自立支援を行うべく、人件費の支出割合を高くしていること、企業の障がい者自立の理解が高いことなどが考えられます。
  2. B型作業所の平均賃金は全国平均を上回っています。
    平成30年度の平均賃金は16,433円、東京は16,078円で、全国平均は16,118円です。全国平均を上回っていること、東京と比較しても遜色はないことが特長です。

A型作業所、B型作業所とも全国平均を超えていることは和歌山県の作業所の誇るべき点であり、企業や地域の障がい者福祉の意識の高さと施策の理解が進んでいること示しています。

事務長は「長年、作業所運営に携わってきましたが、賃金の向上を始め処遇改善、働きやすい作業環境、職場づくりに努めてきたことが実っていると思います。和歌山県の障がい者福祉は進んでいると思いますから、和歌山県にも知ってもらいたいと思いますし、国にも和歌山県内事業者が長年、熱心な取り組みをしていることを伝えて欲しいと思います」と話してくれました。

熱意に溢れる話を聞かせていただき、和歌山県の障がい者福祉と作業所で働く皆さんの素晴らしさを思いました。もっと良い環境を作り上げたいと考えています。

その他
  • 再生可能エネルギーの現状を聞かせてもらいました。規模は小さいですが、地域との環境調和を図りながら地元から受け入れられる再生可能エネルギー計画があります。
  • 事業所などにおける新型コロナウイルス感染症対策に資する取り組みについて聞かせてもらいました。このような民間から出てきた取り組みを支援しています。