和歌山県西牟婁振興局を訪問し、振興局長、部長を始めとする皆さんと懇談しました。西牟婁振興局管内の課題を聞かせていただき、共有して考える機会となりました。和歌山県の課題は、人口減少、産業振興、雇用確保、移住対策など難しいものばかりであり、今から解決するための対策の検討が必要など、解決すべき課題は山積しています。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響で観光客の減少など落ち込む要因がありますが、アフターコロナの地域再生に向かう必要があります。西牟婁郡の特徴は第一次産業と第三次産業の比率が高く、第二次産業の比率が低いことにありますから、消費の落ち込みが地域経済に影響を与えています。
そこで熊野古道を活用した観光の取り組み、和歌山県の歴史を訪ねる旅、南紀白浜空港を活用した誘客などによってアフターコロナに向かおうとしています。
僕からは、西牟婁振興局管内の課題への対応として、ICTオフィスの設置と首都圏への企業誘致、ローカル鉄道の振興、南紀白浜空港を活用した観光振興、いち早くインバウンド観光に向けた取り組み、南海トラフ巨大地震への対応、eスポーツの取り組みなどが考えられます。南紀は可能性の高い地域ですから、取り組み次第で内外から観光客が訪れてくれますし、地域振興につながります。
ただ課題もあります。ICTオフィスへの企業誘致に関しては、現実問題として首都圏から進出してもらうことは簡単なことではありません。南紀白浜空港の滑走路は短いため大型機材を使えないことを克服することは困難な問題です。ローカル鉄道再生に関しては、民間企業の参画と資本投下が必要です。インバウンド観光に関しては、当該国が採用している新型コロナウイルス感染症対策を行い安心してきてもらうための仕組みの導入が不可欠です。eスポーツは和歌山県内ではまだ認知されていないため、まずは知ってもらうことから始める必要があります。
ただ地域にはこれらのものを受け入れられる環境があり、地域に大きな可能性があります。例えば近露王子近くの古民家カフェは県外から移住してきたオーナーが経営している事例が多いようです。オーナーに聞くと、田舎で過ごしやすいですし、地元の方が受け入れてくれるから住みやすいと話してくれました。移住を受け入れられる地域性を持っています。これは地域再生の大きな可能性だと思います。
首都圏から移住してくれているのは、ここには熊野古道があり、南紀白浜空港があることが要因です。移住してきた方に尋ねると「和歌山県には来たことがありませんでした。東京からは知られていないことも原因です。しかし和歌山県に来てみると、とても良いところでここに住もうと思い移住してきました。東京からは熊野古道は思っているよりも知られていませんが、接してみると好きになってくれると思います」と話してくれました。
和歌山県民にとって当たり前の光景ですが、東京から見ると新鮮に映るようですから、誘客の可能性は十分にあります。
北山村の主な産業はジャバラの生産と加工です。ジャバラと言えば和歌山県では北山村と定着しているように思いますが、他の府県にはまだまだ知られていないようです。
和歌山県としてはある程度ブランド化が図れていると思っていますが、実際は他県で類似商品が出ているように全国ブランドにまでいっていないようです。また現在のプラントだけでは収穫量が限られているため売り上げを増やすためには、付加価値の高い加工品の開発に務めることが課題です。原材料で出荷するよりも加工品で出荷する方が利益は高くなりますから、商品開発は今後とも大事な取り組みになります。
このジャバラは、元々は北山村で発見された木で、たった一本の木から産業化を図った経緯を聞いて長い時間をかけて商品化した取り組みは素晴らしいと思います。今後はプラントを広げることと、収穫量が限られていることから加工品として商品化を図ることが求められます。ジャバラは北山村の大切な産業ですから、他の府県の皆さんも「ジャバラ=北山村」であることを認識して欲しいと思います。開発者がかけた時間と商品化、営業活動のコストを理解して欲しいと思うのです。ジャバラ商品は、人口約400人強の村が生きていくための大切な産業なのです。