活動報告・レポート
2020年8月16日(日)
防災の話
防災の話

防災対策について、行政とマスコミの連携の観点から意見交換した結果です。

インターネット化の社会なので情報を使える人は多いのですが、現場で情報を取れる人が少なくなっています。生きた情報は現場にありますから、災害が発生して以降は、発信元が確かなインターネットの情報を基に行動することが原則です。発信者が分からないインターネット情報に頼ることは正しい行動ではありません。

例えば災害発生時に力を発揮してくれるのがコミュニティエフエムですが、それは地域の情報をきめ細かく把握して発信してくれるからです。地元、エフエム和歌山の場合、地域の小さな情報を把握できるのは、ラジオ局のパーソナリティの方々が「災害が発生した時は情報連携を密にして、現場の小さな情報を共有する」ことを日常業務の中で確認しているからです。

これまで和歌山市内の集中豪雨の時、平成30年9月の台風第21号到来の時など、これまでの災害対応においても的確な行動と情報発信をしてくれていることから信頼性を感じています。

局とパーソナリティの情報は、「お互いの情報を共有できるしくみ」を確立しているからであり、これまでの経験から災害で必要な情報を生かせるしくみになっていることが分かっています。

スーパー広域災害が発生した場合、県や市町が臨時災害エフエム局の開設することも対策として検討されていますが、ハード整備が存在していたとしても、ラジオで的確に情報を話せる人材はいないと思いますし、行政だけでは放送できる体制を取ることはできないと思います。

そこにはコミュニティエフエム局の協力が必要となりますし、それ以前に日常からの連携、防災協定に基づく情報や人材交流を行っておく必要があります。災害発生時に行政が放送局の役割を果たそうとしても、災害が発生してから対応できるものではないことは明らかです。

エフエム放送という業務分掌がない行政において、臨時災害エフエム局で放送を担える人材がいないことも明らかです。ですから、できないことを対策とすることよりも、今あるエフエム局との災害発生時の協定に基づいた連携を具体的なものにすることと、少しぐらいは協働することが必要です。和歌山県で実施している防災訓練にどれだけの放送局が参加しているのでしょうか。和歌山県と防災協定を締結しているエフエム局に訓練への参加を呼び掛けているのでしょうか。できていないのであれば、今年の訓練からでも実施すべきです。

インターネットや紙媒体は活用できないと考えて対策を立てるべきですから、紙をラジオに代えて発信することが情報発信だと考えます。現場の情報発信が的確な行動につなげることができ、災害を乗り越えた後の生きる力になるのです。

地元のコミュニティエフエム局の協力を得ることが災害発生時以降、迅速で的確な情報を発信する対策になります。これは過去のスーパー広域災害の現場においてコミュニティエフエム局が果たした役割からも明らかなことです。阪神淡路大震災、東日本大震災などにおける地元コミュニティエフエム局の果たした役割を、行政は重く捉えるべきです。日常、連携を取れていないようでは災害発生時に連携できるはずはありません。臨時災害エフエム局の備えも良いと思いますが、放送局としての機能を発揮できるかどうか分からないような体制では不安になります。

災害発生時は、各自の避難行動と行政とマスコミからの情報発信こそが、私達の命を守ることにつながります。

最後に、昨年の和歌山市内での講演会で名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫教授が、災害を乗り切るために伝えてくれた教えです。「明るく、楽しく、前向きに」です。「あたま」と覚えておき、いざという場合に生かせるようにしたいと思います。