活動報告・レポート
2020年7月9日(木)
適応復興
適応復興

九州を始めとする大雨被害が各地で発生しています。台風や大雨が予想されるとき、「災害にならないように」と祈るのですが、近年は大災害につながっています。改めて非常時の警戒と日常の備えの必要性を感じています。

そしてようやく国は、大災害によって被害を受けた地域や施設の災害復旧のあり方を見直しすることの見解を示してくれました。つまり現在の国の復旧の考え方は「原形復旧」ですが、今後は「適応復興」の考え方を取り入れることも考えていくことです。

この「原形復旧」に関しては、平成23年8月の台風第12号による大雨によって和歌山県の紀南地域、紀伊半島大水害が発生したことの復旧のあり方について、当時の県議会本会議一般質問で質疑を交わしています。

この時、災害が起きて復旧が必要となっている箇所を原形に復旧するだけなら、同じ規模の災害が到来した時に、同じような被害が発生することになります。災害復旧のあり方は原形復旧ではなく「原形ではなく災害への対応力を増した復旧が必要である」ことを指摘しました。国は原形復旧が基本であり、その費用は復旧予算として配分してくれますが、防災のために機能を向上させた復旧については予算配分をしてくれないのです。誰が見ても同じ形状に復旧するだけなら、同規模災害発生時には同じ被害を受けますから、安全性に欠けますし、同じ場所では安心して生活できないことになります。

この主張をしたことで少しは改善できたのですが、国の考え方が変わらないので、防災のためには「原形復旧では災害を防げない」ことは明らかです。同じように平成30年9月の台風第21号による被害を受けた和歌山市にある雑賀崎工業団地の復旧に関しても「原形復旧ではダメ。防波堤の嵩上げなどが必要」であるとの主張を行い、防波堤の嵩上げや従来以上の消波ブロックの設置など原形復旧以上の安全対策を講じることができました。そうしなければ工業団地に立地している経営者やここで働く人々の命に関わりますし、安心して仕事ができない環境に置かれることになります。

そして台風被害など自然災害による損失は損害保険適用外の場合がありますから、被害額によって被災企業は、大きなダメージを受けることになります。大災害が発生した場合、ここで働く人の安全性の問題や企業の損失などを考えると「工場を移転することも視野に入れる」事態にも発展したのです。

ですから大災害の被害を受けた場所において復旧する場合は「原形復旧」では役に立たないのです。防災機能を高めた復旧、今回は「適応復興」と表現していますが、「適応復興」が必要なのです。国はようやく地方自治体の意見を聞いてくれるようになりました。これは国が発案した復旧方法ではなく、和歌山県を含む地方自治体からの強くて長期間に及ぶ災害復旧に関する国への要望の結果なのです。

令和2年6月30日、小泉環境大臣と武田内閣府特命担当大臣が「気候変動を踏まえた防災インフラ整備」について共同メッセージを発表しました。ここで「原形復旧」ではなく「適応復興」の考え方への転換の考えを伝えてくれています。

この場において武田内閣府特命担当大臣は「原形復旧の問題点は、地方自治体から多く寄せられている。原形復旧の限界を共有し、新たな適応復興を果たしていきたい」と話してくれていることは地方にとって朗報です。

地域防災計画を進めている地方自治体にとっては「ようやく考えてくれた」というところです。和歌山県では南海トラフ巨大地震など大災害への備えを実行しているところですが、事前の備えと共に、防ぐことのできなかった地域の復旧に関して「適応復興」ができれば、より強固な安全対策につながっていきます。

その他
  • 道路復旧に関する協議を行いました。雨天時になると排水が悪くて水嵩が上昇する道路があります。非常時に備えて改修を図っておきたい箇所だと捉えて対応しています。
  • 友人達が集まり懇談したこと。ここでポーセラーツや災害時のために考えておくべき補償などの話を行いました。
  • 和歌山ゴールドライオンズクラブ初例会に出席しました。同クラブは7月が年度初めであり、今回が新体制での例会となりました。