活動報告・レポート
2020年7月8日(水)
新産業の創出
新産業の創出

懇談の中で「これからの和歌山県は、一体何をどうしていけば良いでしょうか」という質問をいただきました。これはこのままでは和歌山県では暮らしていけない、子ども達に戻って来てもらえない県になることを懸念しての質問です。

新産業の誘致や知見を生かした「和歌山県の産業」を生み出す必要があります。現在の経済構造の延長線に将来の姿はありません。例えば日本製鉄和歌山製鉄所の規模の縮小は現実のものになっていますし、海南発電所も廃止されています。大型の工場が縮小、または廃止されたことで雇用も経済も失われようとしています。これで終わりになるとまだ良いのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、社会のあり方が変化しようとしている中、同じ経済構造で生きていけないので構造変化も考える必要があります。

和歌山県の将来にとって確実なことは、人口が減少していくこと。少子高齢化が進展していくこと。働く場所が減少していくこと、医療費や福祉に要する費用負担が増え続け、税収の減少と共に財政支出が増加するので、行政運営のあり方も考える必要があることなど、現状から将来を見通すと明るいものにはならないことを前提にする必要があります。

そのため新産業の誘致と生み出すことが必要不可欠です。代表的なものが民間ロケット射場建設によって生み出される産業です。宇宙産業、観光業などによって地域経済に与える影響は大きくなりますし、将来、組み立て工場や研修所ができれば雇用増加、地元就労につながります。

白浜町へのICTオフィスの設置に関しても同様です。白浜空港があることで東京と白浜の移動時間は短くて済み、社会構造の変化にも対応できるのが白浜町のICTオフィスです。東京で仕事をする、オフィスを構える意味は、以前と比較して失われようとしています。事実、都内で勤務している大手企業の方と話をしたところ「もう4カ月も在宅勤務をしています。7月も新型コロナウイルス感染症の陽性患者が増加しているし、7月に入ってからの東京の人の移動を考えるとますます増加すると思います。つまり『近いことが武器にならない』ということです。都内にオフィスを構えるよりも、わずか1時間で行ける白浜町にオフィスがあり、心にゆとりをもって、しかも人との距離を確保して仕事ができるなら、そちらを選択することになります。働く人も会社も、在宅勤務でも仕事ができることが分かってきたので、これから更に業態変化に向かうと思います」という意見を聞かせてもらいました。

つまり環境の良い和歌山県が、白浜町がICTオフィスを増やせたら、都心から企業進出が期待できると思いますし、働く場所を創り出せることになります。これも和歌山県の新産業になるものです。これらは白浜町に空港があることで優位性が生じているもので、更に同空港の国際線化を図るので、外国からの観光客やビジネス客が入ることになり、新しいビジネスにつながる可能性を秘めています。

そこに鉄道です。和歌山県のローカル線を活用した地域再生モデルも創れると思いますし、防災に備えるべき必要のある和歌山県ですから、防災を切り口にした研究施設や訓練施設などの可能性もあります。例えば、津波避難訓練は都心や陸地で実施したくてもできませんから、やはり海岸のある地域が場所として適しています。

このようなしくみを創り出していくことが、新産業創出による地域再生モデルになると思います。もし大企業の工場が進出してくれるというのであれば、それで経済も雇用も人口問題も付随していきますが、現状からはそんな話になるのは難しいと思いますから、産業を生み出す工夫をすべきだと考えます。

和歌山県は、未だないものを生み出せる土壌があると思うので、地域活性化になると思われることは反対から入るのではなく、可能性を信じて検討ができる県民性を大切にしたいと思います。

その他
  • 何人かの皆さんに家賃給付金について説明を行いました。詳細は公表されていませんが、来週から募集開始の予定です。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響でアルバイトの機会を無くした学生の支援について話し合いました。教育者としては一人でも多く困っている生徒を支援したいという思いがあり、給付金の申請などについて話し合ったものです。
  • 今回の新型コロナウイルスの事象を踏まえて、改めて持続可能な社会のあり方について懇談しました。社会のしくみを考える、考え方と行動を考える。そんな話を交わしました。