紀の川の改修計画と新六ヶ井堰の現状について、近畿地方整備局和歌山河川国道事務所で説明を聞かせてもらいました。
紀の川の治水対策は二つの考え方に基づいて取り組んでいます。
- 上流部にある大滝ダムによる貯留(ためる)。
- 河道の掘削と堤防の整備(ながす)。
また紀の川における河川整備計画の考え方は次の通りです。
戦後最大の洪水被害を受けた「伊勢湾台風(昭和34年9月)」クラスの台風が到来した時の災害防止と被害の軽減を図ることを目標としています。そのためボトルネック箇所の整備を進めるとともに整備状況に応じて段階的に大滝ダムの貯水容量を有効活用することで、紀の川水系全体の治水安全度の向上を図ることを目指しています。この整備計画は平成24年12月に策定しており、この計画に基づいて整備が進められています。
ボトルネックにあたる箇所は、岩出狭窄部、藤崎狭窄部、小田狭窄部、そして五条狭窄部の4か所で、この狭窄部の改修を進めています。これらに係る予算は約80億円で、数年前と比較して2倍程度の予算規模なので、これらの予算を基にして河川整備を進めているところです。
またボトルネックになっている個所の改修などは段階的整備で、最終段階の整備計画と分けて進めています。段階的整備で被害軽減に努めているところで、最終目標は紀の川の安全性確保なので、できる箇所から整備を進め、長期目標との二段階に分けて整備を進めているということです。ですから新六ヶ井堰を撤去するとすれば、現時点では最終段階までの間になりそうです。
この新六ヶ井堰ですが、既に部分撤去をしている個所がありますが残置部もあります。この残置部があることから、紀の川の水量が増す原因になっているという主張です。和歌山県議会として完全撤去を求めたいと主張しているのですが、現時点では予算と整備計画の進め方の中での位置づけが明らかでないことから、完全撤去の話につながっていません。
予算でいうと、紀の川整備計画のための年間予算は約80億円で、狭窄部の整備を進めていますが、新六ヶ井堰の完全撤去に必要な予算は補償費なども含めて、概算で正確性に欠けますが、約100億円と見込んでいます。一か所でも年間予算を超える金額が必要となるため、現行の段階的整備を進めながら検討するという状況です。
参考までに、この河川付近の場合、予算が約1億円の掘削工事を実施した場合、約1cmの水量への影響があるということです。河川改修には莫大な予算が必要なことが分かる数字です。
これらのことを前提として、和歌山県議会として新六ヶ井堰の完全撤去のための要望や取り組みを行っていきます。
ところで天候が良ければ、新六ヶ井堰を船上から見学する予定でした。大雨と強風のため船を出すことができなくなり、同事務所長から説明を聞くことになったものです。紀の川整備計画の現状と整備計画、そして新六ヶ井堰の現状について知ることができました。
所長からは「整備計画を進めながら皆さんの意見を伺い、進めていることが正しいことか自らで検証しながら、今後の検討をしていきたい」という話がありました。計画を進めながらも県民、市民の皆さんの意見を聞いて、対応してくれる姿勢を示してくれたことを嬉しく思います。
- 二か所の太陽光発電に関する協議を行いました。メガソーラーではない規模なので地元との話し合いを進めながら対応していきます。
- 法的な相談があり応対しました。法律の適用まで発展してくるには時間を要していますから、簡単には解決できない問題ですが、その糸口は感じられました。依頼者と連携しながら対応したいと考えています。