昨日、Xさんにこれまで関わっている案件の相談をしたところ、連絡をいただき会って話を聞かせてもらいました。問題解決の方法はケースによって様々ですが、今回は、人と人との関係を重視し心ある対応をしてくれています。予想していなかった手法なので驚いていますが、更に驚くことに「結果」が出ているのです。これだけ早く、しかもトラブルに発展することなく問題解決に向かうなんて思ってもいなかったので、話を聞いて「本当に」と思うほどでした。
Xさん曰く「敵対させてしまう問題解決方法は早いのですが、後が伴いません。つまり人間関係が壊れてしまうので、解決した後も人と人が対立した形になってしまいます。そうなると当事者の気持ちがモヤモヤしたままになりますし、いつまでもシコリが残ることになります。それでは本当の解決にならないと思います。
それよりも時間は長引くと思いますが、これまでの経緯や気持ちを一旦、忘れて、歩み寄る方法、つまりいがみ合うような形にならないように解決することが望ましいと思います。相手をやり込めて勝利した形で解決したいと思うのは山々ですが、問題が発生する場合、100対0という形は少なくて、60対40だとか70対30ぐらいの配分でどちらかが一方的に悪いということはありません。中には99対1という場合もありますが、それでもその1に関してお詫びをする気持ちを持つことが人として大切だと思います。
たった1のことを自分からお詫びした場合、99の非があることを内心分かっている相手は、向こうから頭を下げてくると思います。そうした謝りの行為を受けた場合、許せない気持ちは残ると思いますが、そこはぐっと許せない気持ちを飲みこんで『分かった』と大人の答えを出すことが格好良い姿勢ですし、一気に解決に向かう方法です。」
しかしこの方法は簡単ではないどころか、とても難しいことなのです。対立している双方が「この人なら」と思う人物であることが第一であり、間に入ってくれる人が心ある話を双方ともに持ち掛ける必要があるからです。間に立つ人物の立つ位置が高く、心ある言葉と態度を持って接することが求められます。これは相当出来た人物でなければできない振る舞いです。
一方をやり込めるのではなく、非のある人物に非を認めさせ、相手に謝らせることができる。しかもブランドを崩さないようにしなければならないのです。またもう一方の人物に対しても、相手が謝ってきたことを寛大に、許せる気持ちを持ってもらわなければならないのです。
これは相当難しいことです。人物が出来ていることと人と人をつなげる高い技量を持っていることが必要だからです。僕はこの方法で問題解決を図った事例をあまり知りません。今回の案件に対してXさんは見事な行動を見せてくれています。心がある。双方に温かい。そして怒りを鎮めるように持って行く方法は、ただただ感心する他にありません。身近なところに「人物」はいるのです。
それはその人の肩書や地位は全く関係なく、人間力によるものだと思います。この人が間に立てば、従うことが得策だと思わせること、示された解決案を納得しなければ小さな人物だと思われてしまうと悟らせること。そしてこの人に決着を預けることで安心できると思わせることなどが間に入る人の資質として必要です。
今回、Xさんは驚くような行動力を見せてくれています。長引いているこの問題を難しい方法で一気に解決を図ろうとしているのです。しかも、僕は身近でこの行動を見ていますが、決して真似できるものではありません。人間力と厳しい局面を切り抜けてきた経験、そして優しさを兼ね備えている必要があると思います。途中経過の報告を受けて、そう思いました。
この行動は鮮やかな色のように映ります。鮮やかな色を見せられると、見た人は心を奪われてしまいます。そんな鮮やかな色のような行動色なのです。これだけ見事な行動力、色を見せられると、ただただ驚く以外にありませんし、貴重な社会勉強になります。
学べることは対立することで真の問題解決は図れないということです。対立関係を緩やかに取り除き、双方とも笑顔になれるような結果が望ましいのです。
暫く、この鮮やかな色に見惚れていたいと思います。鮮やかな行動の色、鮮やかな人物の色を間近で見られることが勉強になります。
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