活動報告・レポート
2020年5月29日(金)
海草中学校同窓会誌
海草中学校同窓会誌
昭和6年から昭和12年までの海草中学校同窓会誌

連絡を受け母校である向陽高校を訪ねました。校長室を訪ねたところ、そこにあったのは、昭和6年から昭和12年までの海草中学校同窓会誌でした。昭和6年のものは第11号、昭和12年のものは第15号とナンバーが打たれていたように連続して5年間の記録が出てきたことは貴重な発見だと思います。当時の写真や言葉遣いが現在と異なるので、昭和一桁時代の空気を感じることができるものです。早速、5年間の同窓会の活動記録を読ませてもらいました。

5年間の記録全体を通じて「おもしろい」と感じたことがあります。

当時も今も、卒業生は「光陰矢の如し」だとか「あっと言う間に過ぎ去った5年間」など、青春は足早に過ぎていることを感じていたのです。旧制中学校は5年制だったのですが、5年間でも現在の高校の3年間と同じように早く過ぎ去ったようです。
当時の谷口校長先生は厳しい訓示を述べています。「人はこの世に何を成すために生まれて来たのか考えること」を卒業生に課題として与えています。これをはっきりとさせておくことが大事で、それがないと「亡き者と同然、碌なことができないので一生を棒に振る」と伝えています。これは卒業生に「是非、言って置きたいこと」として述べられています。
逆に真面目に勉強、仕事をする人に対しては「不平はない、愚痴はない、唯新生命の無限の展開があるばかり」と激励しています。そして「不平や愚痴を言う者は尊い時間と精神を浪費するのみである」と伝えています。現代にも通用する教えです。

言葉遣いから時代を感じますし、人は昔も今も変わっていないことが分かります。昔の人が凄くて現代人が劣っていることはないと思うのです。どんな時代でも先輩から後輩は叱咤激励を受けながら高いところを目指しているのです。その中には「ウロウロとして何もできなかった」人もいたのです。先人は、人の特性を知っているからこそ、若い人に対して後悔しないようにやるべきことを伝えているのです。この時代の先生方が伝えている言葉は僕が学生の頃に先生達から受けた教えと同じですし、今の僕が若い人達に伝えていることとも言い方は違えども同じなのです。これでは人は進歩しているのか、していないのか分からなくなりますが、何度も同じ教えを繰り返して少しずつ進歩しているのだと思います。

それにしても毎年12月に同窓会誌を発刊していたことを知り、そのエネルギーに感心するばかりです。当時の編集や印刷技術を想像すると、同窓会誌一冊を仕上げることは簡単ではなかったはずです。卒業生の原稿を集め、校長先生や教師からも挨拶文を寄稿してもらっていることを思うと、当時の同窓会活動は活発であり、伝えたいことがあっての編集者の使命に従っていたことを想像します。

そして同窓会誌を読んで思うことがあります。歴史と伝統というものは確実に存在していて、それは無意識のうちに受け継がれているものだということです。初めて読む谷口校長先生の言葉が素直に心に入ってくるのは、この学校の精神が無意識のうちに伝えられているからだと思います。そんなことはないと疑うことは自由ですが、素直に聞く姿勢を持つことが伝統を受け継ぐことだと思います。同窓会誌を読むと、多くの卒業生が私達と同じような学びと気付き、そして感慨と思いを持っていたことが分かります。決して違う感情を持って行動していたわけではないのです。むしろ同じ感情を持って学校生活を過ごし、同じ思いを持ってここを巣立っているのです。

今から90年前の文章、言葉が今日蘇り、心に訴えかけてくれています。昭和初期の価値は現在社会と違う価値ではなく、人類としての普遍的な価値を持っている言葉であり教えであることを分からせてくれています。

寄贈者が部屋の掃除をしている時に偶然発見された冊子が高校に届けられました。この時期に届けられたのは偶然ではなく、今日、生きている私達に気付きを与えるためだと思います。同窓会誌に登場するほとんどの人は、もうこの社会に存在していないと思います。存在していない卒業生の言葉が、令和の時代の後輩に伝えられることは奇跡だと思います。掃除をして捨てられていたら、ここに残っていなかったのです。寄贈者が「これは残すべきもの」だと思い、高校に届けてくれたことで読むことができているのです。

校長先生から卒業生輩に伝えた言葉は、人生の先輩から後輩へと伝えるべき言葉でもあります。

今日、先輩からの大切な宝物を受け取ったので、記録として残しこれから活躍することになる後輩にも伝えたいと思います。

海草中学校同窓会誌
その他
  • 道路の安全確保のための現場調査を行いました。見通しの悪い進入路の改善と舗装。老朽化して見えなくなっているカーブミラーの取り換えなどの対応をしています。
  • 事業者への運転融資に関する相談を受けました。仕事の受注を受けているけれど、資材を調達するための資金が不足しているなどの問題があり、今、生き残るために必要な資金の調達を検討しています。