新型コロナウイルス感染症の医療体制に関して、「有能なリーダーとして知られる東京杉並区の田中区長が、国と都に痺れを切らし独自に動いています。小さな区が24億円の補正予算を組み、以下のような取り組みを始めました。この杉並区の医療体制こそが、私が『和歌山に作って欲しい』と伝えた対新型コロナ医療体制ですので参考にして下さい」と意見をいただきました。
その医療体制とは、杉並区長のメッセージに頼ることにします。以下は「地域医療の崩壊を食い止めたい!(令和2年4月17日号)」を、恐縮であり、長くなりますが、以下に引用させていただきます。
「区内の基幹病院でも新型コロナウイルス感染者を受け入れる病床を増設する必要に迫られています。ところが、それをやるとなると病院内で他の患者と動線を分けたり、医療従事者を一般病床の担当から外すなど、日常の病院運営にもさまざまな負荷を負わせることになるのです。更には通常の二次救急の受け皿が縮小を余儀なくされるなど、病院経営に及ぼす影響も少なくありません。地域のため新型コロナウイルスとの闘いに献身的に挑めば挑むほど病院が経営難になり、マンパワーに重い負担がのしかかれば最悪の場合、病院の崩壊を招きかねません。
また、地域医療の最前線を担う『かかりつけ医』(開業医)は、いつ自分が感染してもおかしくない危険な状況におかれています。実際に、発熱・せき・味覚・嗅覚障害などの『かぜ』症状の患者を診察した中で、多数の感染者が見つかっています。つまりそれは、医師だけではなく、そこで働くスタッフや他の患者にも同様に院内感染の危険があったということであり、このまま現状を放置することで、各地域で院内感染が発生したら、あっという間に地域医療は崩壊に陥ります。
私は、緊急事態宣言以前からこのような危機感を抱き、杉並区医師会および区内の基幹病院と協議を重ねてまいりました。その結果、第1に、病院の崩壊を食い止めるために必要な支援を早急に行うことといたしました。本来これは一義的には国や都が担うべき領域です。しかし、病院の崩壊がものすごいスピードで起こりつつある現実と、起こった時の悲惨な状況を想像すると、漫然とこの危機を見過ごすわけにはいきません。第2に、各基幹病院に『(仮称)発熱外来センター』を設置します。新型コロナウイルスに感染の疑いがある患者を診察するためには、他の患者との動線・空間の分離や患者ごとの防護服の着脱が必要ですが、小規模・少人数で運営している多くの開業医においては、現在のところ対応は困難です。そこで基幹病院に『(仮称)発熱外来センター』を設置して、これまで各病院で蓄積されたノウハウを生かしながら、医師会の開業医がローテーションで診察を行う体制を作ろうということです。これが機能していけば地域の診療所を院内感染から守ることができ、開業医が各々の地域で患者の診療に専念できるとともに、各病院の診療体制の強化にも資することになります」
というものです。
このしくみは、和歌山市内の医療現場で新型コロナウイルスと戦っている看護師を始めとする方々からの提言でもありますが、先に杉並区が実行に移しています。しくみを新たに検討するよりもスピードが大事ですから、この医療体制を参考にして和歌山県版として体制を整えることを提言したいと思います。
今回の意見のように、皆さんから多くの意見や資料提供をいだいています。気付いていない資料の提供や各地の取り組みを教えてくれることは参考になりますし、活動の糧になるものです。他の地方自治体で良い取り組みは取り入れること。全てではありませんが、新しく生み出すよりも良いものを取り入れることが早く手段を講じることができる場合があります。先進事例に見倣うこと、良い事例を参考にすることなど、幅の広い視点を持つことが大事ですが、緊急性を要する事態の時は良い事例を取り入れることは有効だと思います。