令和2年5月1日に台東県から和歌山県に対して新型コロナウイルス感染症予防のためにゴーグル、手袋、雨カッパの寄贈を受けています。これまでの友好関係を基に、当時の関西の置かれた状況を心配して届けてくれたものです。
台東県との関係の元は、台東県が栽培している台湾茶の取り引きが発端になっています。お礼と今後の展開を考えて訪問したところ、台湾茶をご馳走してもらいました。台湾茶も採れた年代によって出来不出来があり、味や香りが違います。また種類によっても違いがあり、飲み比べをさせてもらいました。年代物のお茶、今年採れたばかりのお茶など比べてみると、風味も香りも違うことに気付きます。また薔薇茶もいただいた時、「飲み方、覚えていますか」と話があり、忘れていた飲み方の作法を思い出しました。
今回、台湾茶がご縁となり、必要としている物資の提供を受けたのは和歌山県と堺市でした。話を交わしている中で、今回のご縁はお茶で結ばれていることに気付きました。堺市は言うまでもなく茶聖の千利休の出身地であり、和歌山県有田川町はお茶を広めた明恵上人の出身地だからです。
明恵上人は鎌倉時代、西暦でいうと1173年から1232年に生きた人です。栄西と共に茶の種子を栂尾にまき、茶の普及の契機をなしたことはあまり知られていません。つまり明恵上人が日本茶の普及に務めたことがお茶文化へと発展していくことになるのです。お茶は空海がわが国に持ち帰ったとされていますが、当時はお茶を飲む習慣がなく、天皇家など限られた階級の方が飲まれたに留まっていると聞いています。
また和歌山県の熊野古道ではお茶を飲む習慣があったと教えてもらいました。当時、わが国はお茶ではなく白湯を飲んでいたそうですが、熊野古道沿いの地域ではお茶を飲んでいた珍しい地域であるという話です。お茶の文化は和歌山県が深いようなのですが、和歌山県は情報発信が下手な県なので、和歌山県とお茶の関係についても知られていないのは県民性なのかもしれません。
このようにお茶の文化が台東県と和歌山県、そして堺市を結んでいたことを知り、「お茶で結ばれたご縁を大切にして発展させたい」と話し合いました。
とにかく台湾は新型コロナウイルス感染症を抑えた国として世界から評価されていますし、予防できたことでわが国を支援してくれました。日本と台湾は友好関係にありますが、今後さらに絆を強めていきたいと考えています。
アフターコロナ対策として、追跡健康コードシステムについて協議を行いました。これは健康管理と共に安心して観光客に来てもらえる仕組みを作るもので、収束後の経済対策としても必要な仕組みであり、接点が少なくなっていく社会に変わっていくために必要な仕組みだと考えています。
日本で新型コロナウイルス感染者が欧米と比較して少なかったのは、生活習慣に起因しているという話があります。つまり手洗いやうがいの習慣があり清潔な国民性を持っていること。そして家屋では靴を脱ぐ習慣があることが大きいと聞きました。靴底にはウイルスなどの細菌も付着することから外と部屋を同じ靴で生活することは非衛生的だということです。
さてインバウンドで訪日している代表的な国は中国ですが、同国では既に「健康コード」が導入され、新たな感染拡大を予防する仕組みができています。中国から日本にビジネスや旅行する場合にも「健康カード」が必要とされることになります。中国国民が自らの健康を知るために「健康カード」を所持しており、これが国として安全性を保つために必要な施策となっているのです。
この「健康カード」に関しては韓国やマレーシア、およびシンガポールでも導入されると聞いていますが、そうなるとこの「健康カード」を所持している意味を理解して対応しなければ、インバウンド観光客が戻ることはありません。
大阪府では2025年に日本万博が開催されますが、成功のためには、その時にアジアの国から多くの観光客が訪れることは予測すべきことであり、会場内は密集することから健康管理と安全確保のための仕組みを導入しておくことが必須となります。勿論、関西全体、和歌山県にも外国からの観光客が増えることから、関西全体で対応が必要です。健康管理の仕組みを取らないで外国からお客さんを受け入れることは社会が受容しないと思います。
そこで受け入れる国として「健康カード」システムに対応しておくことは必須であり、それがなければ訪日してもらえないと考えるべきです。経済環境を元に戻すためには観光産業、インバウンド観光客の増加が不可欠であり、アフターコロナの経済対策として観光客の受け入れと追跡健康コードシステムの導入は必要だと考えています。
中国では「健康カード」が実質的にデジタル通行証の役割を果たし、国民の健康管理と経済活動の再開に貢献したと言われているように、各国でも同様の仕組みの導入を検討していることからも、日本として対応できる仕組みを整えておきたいと思います。
各国の健康管理の仕組みと外国に行く時に必要とされている「健康カード」などを参考にしながら対応策を検討すべきだと考えています。