「一般社団法人日本・ガボン友好協会」の紹介をいただきガボン大使館を訪ねました。
大使館と話し合ったところ、日本に対して主に農業プロジェクトと医療プロジェクトの支援を期待していることが分かりました。かつてガボン共和国は農業が盛んでしたが、現在、石油、マンガン、ウラニウムなどの天然資源が発見されたことから経済が発展し、生活は豊かになっています。中でも埋蔵量が豊富な石油はガボン共和国の基幹産業であることから、現在の経済を支えています。ただ将来とも石油資源に頼っている訳にもいかないことから、再び農業の振興を目指すと共に、国民が望んでいる医療水準を高めることを目指しています。
農業で言うと、以前はコーヒー栽培が盛んでしたが石油資源が発見されてから衰退しており、コーヒー栽培に従事する人は少なくなっているそうです。プランテーションは寂れており、技術の継承もできていないので再構築を目指しています。日本では宮崎県が、ガボン共和国に対してコーヒーの技術支援のあり方を検討していると聞きました。
今年3月には「日本・ガボン友好協会」が宮崎県に入り、ガボン共和国に対する技術指導や人材交流などのあり方を協議する予定になっています。
和歌山県に対しては除虫菊の栽培技術と技術指導の支援ができないかとの話を伺いました。アフリカは黄熱病やマラリアなど、蚊を媒介とした病気が依然として存在していることから、現地での除虫菊の栽培や、それを原材料とした蚊取り線香製造の技術指導などの支援ができそうだと思います。
また医療機関はある程度の水準があるのですが、リハビリテーションのレベルが低いため、その技術指導が必要だと伺いました。日本からは、リハビリテーションに関わる人材育成と技術指導をしてもらうことを期待していることが分かりました。
また飲料水の確保の問題があります。河川の水を飲み水として利用できるように、日本の技術を求めています。水資源を確保するため、水を浄化する技術を欲しているのです。
そして教育です。日本に学ぶことを望んでいて、日本語教育施設と日本語の教師を現地に派遣してもらい、N3やN4のレベルの人材を育成したいと考えているようです。日本語のできる人材を教育し、今以上に日本の大学などに留学させることを目指しています。現状、ガボン共和国から日本の大学に留学している学生は約10人だそうです。その中の一人は、昨年まで和歌山大学観光学部に留学していたことを教えてもらいました。ガボンにとってツーリズムは大切な産業の一つなので、唯一、国立大学で観光学部のある同大学に留学していたそうです。
教育の分野でのガボン共和国と和歌山県のつながりがあることが分かりました。
もうひとつ。ガボン共和国は中部アフリカ諸国経済共同体の幹事国だそうです。これは1981年12月に設置が合意され、1983年に設立された経済共同体のことです。
加えて、この域内の紛争の予防や解決の組織として、1999年より中央アフリカ平和安全保障委員会(COPAX)が設置されています。ここにはコンゴ共和国やカメルーンなどが加盟していて、加盟国の総人口は約3億人だそうです。この経済圏が背景にあるので、ガボン共和国の人口が154万人であっても市場規模は大きく経済交流が期待できるとのことです。
今日の大使館訪問を機会として、和歌山県がガボン共和国に対してどんな経済協力ができるのかなど含めて友好が図れるかどうか考えてみます。
今年1月にご縁をいただいたチュニジア大使館を訪問しました。チュニジア共和国とのご縁は、同国に和歌山県の皆さんが桜の木の植樹をしたことに起因しています。日本庭園内に約200本の桜の木を植樹したことから、今年1月にモハメッド・エルーミ特命全権大使とファタヒ・ジュラシィ参事官が和歌山県を訪問してくれました。その時、県庁、和歌山市役所、和歌山商工会議所を訪問した後、和歌山大学内にオリーブの木の記念植樹を行いました。
その時に経済交流を図りたいと大使からの申し出もあり、具体的な経済、人的交流を図りたいと考えていました。今回の大使館訪問は、具体的な経済交流の取り組みにつながるような話し合いをするためでした。
チュニジア共和国は現在、年間に約900万人の外国人観光客を受け入れています。この数字は対前年比50パーセントの伸びを示しています。この内、日本人観光客は約8,000人なので、もっとチュニジアに来てもらいたいということです。
チュニジア共和国は、海と山、森林などの自然が豊かですが、各国に対して十分にプレゼンテーションが出来ていないことが弱点です。恵まれた自然環境を他の国に十分説明できていないので、思ったほど観光客を呼び込めていないのです。チュニジア共和国の持つ観光資源の潜在能力とかけ離れた数字になっている現実を踏まえて、更に観光に力を入れようとしています。
「観光分野でチュニジア共和国に何を求めているのか」の問いに対して答えました。
和歌山大学には宇宙の研究と教育を行っている教授がいます。また来年の計画ですが、和歌山県串本町にはロケット発射場が完成します。和歌山県は宇宙観光、エデュケーションやツーリズムの拠点になると思うので、和歌山大学と観光でも教育でも連携できると思います。続けて僕からは「チュニジア共和国は宇宙開発に関心はありますか」との質問を行いました。
「宇宙産業は活発になってきています。国はエアバスと組んで研究を進めています」と答えてくれました。そして「3月に大阪市で経済セミナーを開催する予定ですが、そこに宇宙産業の話ができる長官が出席してくれます。和歌山商工会議所が『大阪市でのセミナーに会員企業の参加を呼び掛ける』と話してくれていましたが、宇宙に関係する人も、このセミナーに参加して欲しいと思います」と話してくれました。
また高等教育分野に関しては、和歌山大学が国立大学で観光学部を有している大学であり、マグレビ経済学部長がチュニジア人であることから親しみを感じてくれています。「チュニジア共和国から和歌山大学に学生を留学させることができたらと思います」と、大学間の交流、人的交流にも関心があると話してくれました。
和歌山県がチュニジア共和国の日本庭園に桜の木を植樹してくれているので、和歌山県の認知度は上がっています。「私達の国では和歌山県というワードは知れつつあります」と嬉しい感想を伝えてくれました。また教育にも力を入れているので、日本について学べる教育センターを設置したい話もしてくれました。
日本においては宮城県石巻市が、チュニジアストリート、カルタゴストリート、ジャスミンストリートを設置して友好関係を築いていますし、愛知県瀬戸市とナブール市との間で姉妹都市提携をしているなど、友好関係のある市があります。また石巻市は、チュニジア共和国の震災被災地を対象にした「復興『ありがとう』ホストタウン」にもなっていることを聞かせてもらいました。
和歌山市役所を訪問した時に大使が話してくれたことですが、今回も「是非、和歌山市とも姉妹提携を締結したい」と話をいただきました。
最後に大使は「和歌山県で新型コロナウイルスが発生していることを知っています。大変な状況だと思いますので、私達に支援できることがあれば何でも言って下さい」と伝えてくれました。