教育関係者と打ち合わせを兼ねて懇談しました。先生から「明日、二つの授業を行いますが、そのテーマの一つは『子ども達に伝えたいこと』を取り上げ、午後の授業では『エネルギー問題を考える」講義を行います」と話してくれました。
どちらの授業のテーマも、以前から先生と議論を行っていたものであり、現地研修にも行って研鑽してきたことが基礎になっています。先生からも「研修に行ったことで考えさせられることがありました。子ども達に伝えたいと思います。子ども達にとって経済格差や貧困の問題、将来のエネルギーと地球環境を考えることは大切なことだと思います。生徒が考えるきっかけになるよう講義を行います」と熱く語ってくれました。
「子ども達に伝えたいこと」では、「大人の道、一歩一歩進む先に」と題して考えるべきテーマをレジュメにしています。居場所、学校のあり方、経済的な問題、いじめや不登校などの実態と対応について講義を行い、自分たちでも考えてもらいます。そして何ができるのかを考える授業になっています。
また「エネルギー問題を考える」ではパリ協定やダボス会議でのグレタ・トゥンベリさんの発言を基にしたテーマを取り上げ、将来のエネルギーのあり方を考えるように工夫しています。子ども達の世代では実現するであろう海底に眠るエネルギーや水素、電気自動車と空気のないタイヤの開発、脱石炭の課題などを題材とし、最後は和歌山県としてやるべきエネルギー対策を考える授業を組み立てています。
このように先生の授業は一方的に講義をするのではなく、グループ討論を取り入れてみんなで考え、その成果を発表してもらうように工夫をしています。「聞くだけではなく考える、議論をする、発表する。理解を深めるためにはこの流れが授業で必要なことです」と話してくれたように、受動的な授業から能動的な授業へと変えているようです。
そして授業の最後に、感想と自己分析をしてもらうことを聞きました。自己分析とは、授業を聞いて「授業は理解できたか」、「講義から学んだことは」、「進んで議論に参加できたか」などの項目を5段階で評価します。
最後に「授業の感想」を書くことにしています。毎回、書くことになっているので、授業は考える場所であり、発表する場であることを理解して授業に挑むことができています。
先生は「子ども達には自分で考えること求めています。全体の中で手を挙げることを求めても、今の子ども達には適していないと思います。それよりも講義を聞いた後にグループに分かれて討論をしてもらい、自分たちで考えたことを発表してもらうなど遊びの要素を加える方が発表しやすいのです。そして感想を書いてもらうことは効果的だと思います。最初は単語で『環境問題』などと書いていた生徒が回を重ねるに連れて『地球環境問題は私達が考えなければならないテーマです。できることから実践したいと思います』などの文章に変わっていくので、『成長している』ことが感じられる」と話してくれました。
感想文は自分を出すことになりますから、先生にとって理解度が確かめられますし、成長していることも分かります。また単語だけの生徒に対しては「もう少しだけ思っていることを言葉にしてみようか」など声をかけられるので、生徒に応じた教え方ができることになるそうです。感想文は先生と生徒のコミュニケーションの手段となるものなので、大切にしていることが分かりました。
社会における人間関係も同じで、言葉を交わすことで相手のことが分かり、コミュニケーションが図れます。先生の指導のやり方を聞いて、社会人として学ぶことがありました。