お客さんからの「クレームは宝の山」と言われています。特にアメリカの企業では、クレーム担当はできる社員、優秀な社員が配属される部署だと聞きました。クレームが宝の山と言われる理由は、企業で働く自分達が発見する前に、お客さんが商品の不具合を見つけ伝えてくれているからです。社員が不具合を見つける前にお客さんが見つけてくれるので、改善する時間を大幅に短縮できるからです。
クレームを放置しておくと商品の改善やサービスの改善が遅れることになり、同業他社に後れを取ることになります。
また行政でも同じことが言えます。県民の方が法律や条例、行政手続きの不具合を指摘してくれているのですから、改善することも考えることが必要です。「法律で決まっているから変えられない」のではなくて、法律を制定した時期と現代社会との比較や、東京都と地方都市、都会と地方とは置かれた状況は違うので、時代や地域社会に合わない事例の指摘があれば、法律を改正していくように国に働き掛けることも行政の役割です。
それをしない地方自治体であれば、ますます人口が減少していくことになります。県の主役であるはずの県民の意見を聞かない行政であれば、そこに生活する必要性はないからです。もっとサービスレベルの高い地方自治体に移住することも考えられる時代だからです。自治体間競争が始まって久しいので、県もそのことに気付くべきだと思います。
例えば故郷を離れた子ども、東京で働く人を仮定します。東京で働く子どもの故郷との関係性は故郷に親が暮らしていることが大きいのです。親が和歌山県にいるからお正月やお盆に帰省する、親の様子を見るために帰る機会があるなど、子どものいる場所と故郷とをつないでくれているのが親なのです。もし親がいなくなれば故郷は遠くなります。地方自治体は、そのことに気付かなければなりません。
親が和歌山県で暮らしているから、親が暮らしやすい生活環境を支援することが行政の役割です。もし和歌山県の行政サービスが劣っていて、不具合の改善を要望しても聞き流されてしまえば、子どもが親を自分のところに招くことは、十分にあり得ることです。
子どもが故郷にいる親の生活に不安を感じるなら、「こちらにおいでよ」と移住を呼び掛けることは当たり前のことです。そうなれば人口が減少、税収も減少、空き家が増えることへとつながっていきます。一つの動きが連鎖していくことを、行政職員さんは勘を働かせて対応すべきことも現代の仕事のやり方です。これまでは考えなくても良かった問題でも、今の時代は考えるべき問題になっていることがあります。
「クレームは宝の山」と考えるのは企業だけではなく地方自治体も同じです。クレームに対応しないこと、クレームから問題点を発見できないようなら、人口は減少を続け、税収は落ち、空き家が増える、そして子どもは故郷に戻ってこない県になります。
たった一人の担当者の不作為がこのような負の連鎖を引き起こすこともあり得ますから、課題を与えてくれるクレームには対応すべきだと考えます。
クレーム対応をする場合、一つの問題は他の問題を引き起こすこともあると予想できる能力も必要です。現場に行くこととお客さんからのクレームは課題解決を速めてくれるものですから、嫌がらずに向き合いたいものです。
宮地区連合自治会主催の新年会に参加しました。来賓として和歌山市長、ゲストに歌手のトンペイさんに来ていただき、会を盛り上げていただきました。和歌山県を拠点として活躍しているトンペイさんの歌は心に響きますが、和歌山県のことを「ふるさと」の歌にのせて歌ってくれました。故郷は誰にもある心の風景のようなもので、トンペイさんのこの歌が全国で歌われることを願っています。
ご一緒させていただいた役員の皆さんに感謝しています。