ある企業経営者が自信を持って、次のような話をしてくれました。
「AIも5Gもモビリティも、地域と共に発展していかないといけないと思います。最先端技術は地方から発展させなければならないと思っています。地方から最先端技術の研究と成果を発表すべきです。地方都市はコンパクトで研究に適しているので、最先端技術のショールーム的な役割を果たすことが可能です。しかも地域と共に発展していくものなので、地方都市にこそ研究所を持っていきたいと思います」と話してくれました。
つまり私達にとっては、見慣れた地方都市の光景ですが、東京から来たこの経営者にとっては、研究フィールドして適している地域だと評価してくれているのです。見方を変えれば可能性が出てくることを感じました。改めて、視点を変えることは大切なことだと感じています。
和歌山県では平成23年の紀伊半島大水害の経験から、台風などに備えてダムの事前放流という取組を実施しています。平成30年の台風第20号では、ぎりぎりの判断だったと思いますが、大水害の経験を踏まえて、関西電力には迷惑をかける形になったけれど、できる限り事前放流をして備えたところです。和歌山県については、台風前にダムの水を流していなかったことは、基本的にはないという状況です。
ただし、奈良県にある大滝ダムは、国管理になるため、現状ではダムの水を流し切っていない状況です。利水者がいること。和歌山県も工業用水や水道用水の利水者ですが、その利水もあるので流し切れていないという現状があります。
知事からも和歌山県も利水者であれば、そこは「流してしまえ」と言ってもいいんではないかといった意見もあり検討も始めていますが、紀の川、大滝ダムについては現状では流し切れていないところです。
それについて、利水者として、今後どういったことが協力できるかを、今、官邸を中心に事前放流を全国的に実施するという取組が始まったと聞いています。
今年の台風の時、関東で事前放流ができなかったのかという問いに対しては、今の状況だと無理だったという見解です。関東には一都何県もあり、そこに人口が約3,000万人もいて、ダムの水を全部流してしまった時、もし台風の進路予測が空振りに終わったときには大渇水になってしまいます。
気象の状況については、この頃であればコンピューターなどで分かるのではないかという意見もありますが、和歌山県においても、大雨が降っていた警報のような感じで降り終わってから出ることもあります。そういった事態になると、和歌山県だと人口もそれほど多くなく予想が空振りしても直ぐに水は戻るということで、県も関西電力に対して、水は戻るということを言いやすいのですが、群馬県なり、栃木県なり、埼玉県なりのあの辺の山奥のダムというのは、東京の水源にもなっており、そういった所を流し切るというのは、被災した人達の気持ちはよく分かるのですが、現実問題として今までは難しかったと思います。
それを、難しいということではなく、人の命がかかっているのだからどうにかならないかということで、補償という話も初めて、この頃、政府は口にするようになっています。毎週のように国から、事前放流のやり方などについて照会があります。和歌山県は先導的にやっているので、国に情報提供するなどして、今回のような関東の豪雨が、紀の川水系、新宮川水系を始め和歌山県にいつ来るとも分からないので、情報をできるだけ提供するなどして、全国に波及できるよう努めていければと思っています。
以上が台風などに備えた和歌山県のダム事前放流の取り組み方ですが、全国的に先進的だと考えています。
毎年、年末恒例の松江会に参加しました。もう40年近く続いていると聞きましたが、メンバーは変わりながらも継続している会は素晴らしいと思います。常に、顔を合わせているメンバーではありませんが、仲間として団結力があり共に成長しようとしています。ここにお招きをいただいていることを有り難く思っています。