昨日の「土曜講座」、「和学と伊達家、坂本家」で紹介されたことですが、日本人にとって受け継ぐべき大切な言葉や考え方がたくさんありました。以下、三つの言葉を紹介し、安政の不平等条約についても記します。
平安時代の文芸の美的理念の一つで、自然、人生に触れて起こるしみじみした内省的で繊細な情趣のことです。あらわな表現を避けて洗練された繊細さを重んじること。人生や花鳥風月などに対する味わい深い情緒や情感を表すことだそうです。
江戸時代、国学者である本居宣長がその著「源氏物語」の本質は「もののあはれ」であると唱えたのに始まり、日本文化においての美意識、価値観に影響を与えた思想となっています。
「良知」とは、身分や学問の有無に関わらず、すべての人が生まれ持っている道徳知や生命力の根源のことだそうです。「致良知」とは、この「良知」を全面的に発揮することを意味し、「良知」に従う限りその行動は善いものとみなされることを指します。
王陽明は「知って行なわざるは、未だこれ知らざるなり」と言われたとされていますが、その意味は、知識があっても行動が伴なわなければその知識は無駄であり、知識と行動は一体だということです。真の知は実践を伴うものであり、学んだことは実践することが必要だということになります。
平安時代、江戸時代の日本人が持ち合わせていた日本人の心、考え方が分かる話しでした。現代、これらの日本人としての心は失われているようにも見えます。しかし日本人として世界に出ていくために、日本人の心を持つことが肝心であると伝えてくれました。人は自分と同じものを求めているのではなく、自分にないものを求めているからです。日本人の心は世界の人の心に届くと思いますし、それが世界を変える源泉だと思います。
また「土曜講座」では、歴史認識として1858年に江戸幕府が締結した不平等条約についても触れてくれました。同年6月にアメリカと、7月にオランダ・ロシア・イギリス、9月にフランスと不平等条約を結んでいます。
言うまでもなく、この条約は領事裁判権を認めること、関税自主権がないとう明治政府にとって明治時代の全てを通して最大の課題になるものでした。
また片務的最恵国待遇も含まれていたことも問題となっていました。最恵国待遇とは、通商条約や商航海条約において、ある国が対象となる別の国に対して最も有利な待遇を受けることを、現在および将来において約束することですが、片務的最恵国待遇とは、片方の当事者だけが責任を負うことです。ですから日本だけが最恵国待遇を余儀なくされて、相手国にはなんの義務もないことになる紛れもない不平等条約です。
この日本が列強から結ばされた片務的最恵国待遇については、外交史料館の冨塚さんからお聞きしたことですが、「土曜講座」を聞いて思い出しました。
安政の五カ国条約は江戸幕府が、当時の国際条約についてあまり理解していなかったとされていますが、この不平等条約が後々、近代化を目指す国家を苦しめることになるのです。如何に幅の広い知識を得ること、世界観が大事なのか分かります。
全4回の「土曜講座」が終了することは寂しい感じがしますが、主催団体は来年に向けて新しい企画を検討してくれています。和歌山県に、近代史を学べる場、機会があることを嬉しく思っています。
今朝、お世話になった方の突然のご不幸があり、夕方からお悔やみに伺いました。多くの方が駆けつけお別れを伝えていました。僕もこれまでの導きに感謝の言葉を伝えました。