活動報告・レポート
2019年12月5日(木)
現代の故郷の偉人

和歌山県はこれまで大勢の偉人を輩出しています。歴史に名前を残している偉人の方もいれば功績を残しながら名前を知られていない偉人の方もいます。現在外交史料展が開催されている中で陸奥宗光伯の展示物がありますが、まだまだたくさんの先輩が和歌山県にいますから、そんな偉人に相応しい方々の顕彰について話し合いました。

その一人として、和歌山県の子ども達に行っている宇宙教育とロケット発射場の夢を描いた上野精一さんのことを話しました。話を聞いてくれた方は「上野精一さんの功績を聞いて偉人に相応しい方だと思いました。顕彰すべき人だと思います」と答えてくれたので、僕の説明が伝わったことも含めて、元JAXA役員の上野精一さんの残した功績を理解してくれたことを嬉しく思いました。

スペースワン株式会社がロケット発射場建設工事祝賀会を開催したのが、令和元年11月16日の土曜日でしたが、その前日の金曜日、東京都内で上野精一さんの「お別れの会」が開催されています。「晴れの祝賀会の場にいたかっただろうなぁ」と思うと寂しい気持ちになりました。

表には出ていませんが、和歌山県で宇宙教育を通じて子ども達に宇宙のことを教えて楽しさを伝えてくれたのが上野さんであり、10年以上前に「本州の中で串本町はロケット発射場に適した場所です。ここからロケットを宇宙に飛ばすことができたら和歌山県の財産となり誇りが生まれます」と話してくれていたのも上野さんなのです。

平成の時代に和歌山県串本町からロケットを飛ばすことが和歌山県の宝物になることを語り、子ども達に宇宙教育を実践してきたのも上野さんなのです。串本町に出掛けて子ども達に講演をしてくれたこともありますし、和歌山県が宇宙を受け入れる基礎を築いてくれた人だと思っています。

形の上では民間企業がロケット射場を建設するのですから、上野さんは直接関わっていないように見えます。しかし宇宙は何もないところから誕生したものではなくて、無と思っていたところにエネルギーが満ちていたからビッグバンが起こり、宇宙が誕生したと言われています。ゼロからは何も生まれないので、少しでもエネルギーが存在していることが何かが生まれる条件だと思います。

今回、民間ロケット発射場が実現することになったのは、宇宙教育をスタートさせ実践をしてきたことが、誘致を実現させたエネルギーになったと思っています。

まず平成22年7月31日に、フォルテワジマを会場に「宇宙が和歌山にやってきた JAXA タウンミーティング&ユース・スペース・プログラム in 和歌山」を開催しています。この時、上野さんは「JAXA有人宇宙環境利用ミッション本部事業推進部長」の立場でタウンミーティングに参加してくれています。

前後しますが、これに先立つ平成22年2月19日には、串本町文化センターで「宇宙と宇宙開発」をテーマに講演をしてくれています。

また平成22年11月15日、和歌山県教育委員会は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙教育センターと宇宙教育活動に関する連携協定を締結しています。

この協定は、それまで和歌山県では宇宙教育に関する多様なプログラムを実施する素になるものとして、JAXA教育プログラムの開発支援など、JAXAの教育活動に対して協力してもらっていました。この連携協定の締結は、それまでの協力関係を確固たるものとし、さらなる宇宙教育活動の発展を目的としたものです。宇宙を素材とした教員向け研修プログラムの開発及び実施、社会教育支援、学校教育支援などの活動を通じて相互の関係を深め、宇宙教育を推進することを目指す決意の表れです。

そして平成23年3月31日には、和歌山県教育委員会は、前年10月に実施した「JAXA教師のためのスペースプログラム」に参加した教師をスペースティーチャーとして委嘱し「JAXAスペース・ティーチャーズ和歌山」を発足させています。

JAXA宇宙教育センターは、さらなる宇宙教育の推進に向けて、全国に波及できるようなモデルとなるよう、和歌山県におけるこの取り組みに協力してくれることになっています。

今から9年も前に、平成22年から平成23年にかけて、和歌山県が宇宙教育を推進するための基礎を築いているのです。上野さんの呼び掛けに応えた和歌山県教育委員会は、今日を予測するかのように実に先見性があったと思います。

僕からは現代も偉人はいることを話しました。今回の議会一般質問では上野精一さんの功績について発言するつもりです。