活動報告・レポート
2019年11月15日(金)
紀伊半島視察二日目
日高振興局

視察二日目は御坊市にある日高振興局と美浜町のアメリカ村を訪ねました。

日高振興局では、日高地域の課題と対応について意見交換を行いました。産業、福祉、農水産、建設などの政策について説明を受けた後に議論を行いました。

僕からは二点です。

1.日高町ではベトナムからの観光客が訪れているようですが、同国から観光客が来ることになった経緯を教えてもらえると他の市町にも水平展開できると思います。日本からベトナムにリゾートやIR施設などに観光に行く人は多いのですが、ベトナムから和歌山県に観光で来る人はそれほど多くないと思っていました。日高町に来ることになった経緯、そして成果が出ているようなので教えて欲しいと思います。

僕の認識ではベトナムの平均月収は約3万円ぐらいだと認識していますから、日本に観光に来る人は多くないと思いますし、富裕層に的を絞っているとしても日高町に来てくれるようになるまでには苦労もあったと思います。

この観光客誘致にはHISのツアーに組み入れてもらったと聞きましたが、ツアー商品に組み込んでくれたことは凄いことだと思います。

振興局からの回答です。

日高町商工会の会長、事務局長がとても熱心な方で、自らベトナムに行って誘客活動をしています。現地で知り合った方々と話をして日高町に来てくれるようになっています。その中でHISとも組むことができたと聞いています。

この一年間で100人ぐらいのベトナム人観光客が来た実績があります。但し日高町で宿泊したものではなくて大阪や京都観光と組み合わせたツアーとなっています。

観光しているところに立ち会いましたが、そのお客さん達は富裕層だったと思います。お土産をあるだけ買っていましたし、服装も富裕層の恰好でした。商工会会長の人脈によるものもあり、直ちに他の市町に展開することは難しいかも知れません。

2.日高振興局では南部川の河川改修を実施しているようです。これは防災の観点からの改修ですからこれから言うことは観点が異なりますが、所感があれば聞かせて下さい。南部川の支流に古川があります。この河川は日本一環境汚染の川だと評価されているので、印象は良くありません。特にみなべは梅の産地ですから、全国的に評価が高い梅の評判を落とすことにならないか心配しています。

ただ昨年、古川は河川の環境汚染のワースト2位になったことから水質改善の取り組みがなされていると思いますから、日高振興局と町の取り組みが成果をあげていると思います。ブランドイメージを落とさないためにも古川の環境改善が必要だと思いますので、その取り組みについて聞かせて下さい。

振興局からの回答です。

古川が直接、環境改善につながるような取り組みは実施できていません。南部川の河川改修は防災の観点からのことであり、古川にも防災の効果は発生すると思いますが、環境改善になるものではありません。

環境改善の取り組みとしては、南部川を管理している地元河川組合に対して古川に流入する水量を増やしてくれるように依頼しています。表現は適切ではありませんが、古川の水量を増やして薄めるような運用をしています。

アメリカ村
美浜町カナダミュージアム

続いて美浜町のアメリカ村を訪ねました。明治時代に美浜町三尾地区から多くの人がカナダに移民として渡った歴史があります。カナダに移民として渡った人達が故郷に帰ってきた時に持ち帰ったものや当時の生活用品などを展示しているのがカナダミュージアムです。

ここでは三尾地区の歴史を将来にまで伝えるため、そして歴史の価値を地域振興として活用するためにカナダミュージアム、アメリカ村レストラン、ゲストハウスなどを設立しています。移民の歴史を継承することと、観光資源として賑わい創出につなげようとしていることが分かりました。

ところで美浜町三尾地区からカナダ移民した歴史がありますが、何故、アメリカ村となっているのか不思議です。その理由を尋ねたところ「カナダに移民したのですが、当時はアメリカ大陸という知識があっただけで、そこがアメリカなのかカナダなのか分からなかったようです。そこで当時の三尾地区の人は、ここから多くの人がアメリカに移住したと思ってアメリカ村と呼んだそうです。」実際はカナダに移民として移ったのですが、この辺りはアメリカ村で定着していたので、名称を変更することなくそのままで現在に至っているということです。

視察を終えた後に、三尾地区のゲストハウスに住んでいる東京から来ている若者が来てくれました。聞いたところ「今年7月からここに住んでいます。大学を一年間休学して、来年の6月までここで暮らすつもりです。ここを訪れた時、とても自然と景色などの環境が良いので大学を休学してここに来ました。和歌山県で一年間暮らすので、東京に戻った後も和歌山県の良さを伝えたいと思います」と話してくれました。

日高町の自然環境、生活環境を気に入ってくれたことを嬉しく思います。この若者は東京大学の3回生で、現在、休学中ということです。

べトナム

ベトナムで日本語教室を経営している人達が和歌山市に来てくれました。エンジニアなど、日本に行くことを希望する人を対象に日本語を教えています。ベトナム人はまじめで熱心なので、日本企業からのオファーが多く、人材育成が追い付かない程だと聞かせてくれました。

きちんとしたルートとルール、育成と派遣、そして日本での環境整備などを行い、日本に人材を送り出してくれています。日本に来たベトナム人が「日本は良い国」と思って帰国してくれるように考えてくれています。

ますます増加すると予測できる外国人労働者の派遣の仕事をしている方と会い、外国人雇用と労働問題について考えるきっかけとなっています。

ところで日高町にベトナム人観光客が来ていることも、その理由も彼らは知っていました。日高町の取り組みは凄いと思います。