活動報告・レポート
2019年11月14日(木)
紀伊半島視察
南紀熊野ジオパークセンター視察

串本町の南紀熊野ジオパークセンターを訪れました。和歌山県が令和元年7月にオープンさせたセンターで、紀伊半島の特有の地形形成の過程を学びました。地形が形成された過程と言ってもこの地域に地殻変動があったのは約1400万年も前のことであり、それ以降、現在の紀伊半島が形成されたということです。

この地域は太古の昔に、マグマが噴出した後の巨大なカルデラで独特な地形となっているので、日本ジオパークに認定されています。ジオパークは説明を聞くことで理解が深まるもので、現地を訪れるだけでは専門家でない限りその凄さが分からないと思います。だから南紀熊野ジオパークセンターの存在は大きな意味があります。ここで南紀の地層形成の過程と特徴を学び、そこから現地に行くことで更に知識が深まります。

今回、水の浸食によって地形が変化していく実験を見せてもらいました。山から湧き出す雨水などは低いところを選んで下の方に流れます。地上においては水は低い場所を選びながら水が流れ込みますが、地下では台地の下を広がるように水は流れていきます。見えないところで地下水として低い方に流れています。

南紀熊野ジオパークセンター視察

川は地質によって変化するのが常識で、地質の柔らかいところに向けて流れます。そのため人が暮らすのに適した場所は、川の流れの変化が及ばない場所を選ぶ必要があることが分かります。川の流れが見えている部分を見て大丈夫と思っていても、地下水は川の下を広がるように流れていますから緩い地質の場所は危険地域になります。地層の形成過程を学ぶことは、洪水や大雨対策を考えることになり、防災対策にも生かすことにつながります。

地層について学ぶことは防災を考えることにも役立つことが分かりました。知らないよりも知ることで防災対策を考えることになります。知ることで対策を考えることができますから、まずは自分達の暮らす地域形成の過程を知ることが大事なことです。

ジオパークとは違う事例ですが、考え方の一つとして、住所は有効な手掛かりになります。和歌山市の場合、六十谷は昔、六十の谷があったことを教えてくれますし、和歌山市砂山は海からの風で砂が溜まった小高い丘であったことを教えてくれます。

ジオパークセンターで丁寧な説明をしてくれたお陰で、紀伊半島南部が独特な地層を持っていることが分かりましたし、地層形成の過程を知ることで防災にも資することも分かりました。これまで知らなかった世界の一端を垣間見ることができました。

白浜町ITオフィス視察

続いて白浜町役場を訪ねました。白浜町はIT企業とワーケーションのためのオフィスを提供しています。羽田空港から南紀白浜空港まで一時間で移動できるので、東京から企業が進出してくれています。白浜町に来てくれた企業の方々はその良さを理解してくれているので、和歌山県と白浜町の取り組みも重なって進出企業は増えています。

ところでワーケーションに関しては、和歌山県と長野県が積極的に取り組んでいます。両県は協力して首都圏からの企業を受け入れる体制を整えています。地方都市にとって人口減少を止めるために定住対策や移住対策を講じていますが、残念なことに成果は上がっていません。この定住と移住対策は継続するとして、関係人口を増加させる取り組みも検討すべき課題です。関係人口を増やす対策として、ワーケーション企業の誘致は有効な取り組みとなります。仮にそこに住まないとしても、そこで暮らしてもらうことで経済は上向きますし、地元の人との交流による刺激があり活力を生むことになります。

今日、ITオフィスに入居しているIT企業の方が話してくれましたが、「100社ぐらい企業が進出してくれたら、東京でなくても白浜町にいても多くの仕事を完成させることができます」という話です。

だから可能か不可能かは考えることなく白浜町に100社進出を達成することを目指したいと思いました。この特別委員会の視察で考えたことは、半島振興と地方創生に向けた取り組みを今まで以上に進めたいということです。明日は視察二日目ですから、今日と同じように成果を得たいと考えています。