活動報告・レポート
2019年11月13日(水)
起業支援と少子化対策
哲人
中村天風掛け軸

哲人中村天風師の展示物を拝見させてもらいました。本当に素晴らしい師を記念する作品の数々に感動しました。本日、読み終えた田坂広志氏の著書と言い、天風師の作品と言い、語り掛けてくれることは「心の持ちよう」です。「心の持ちよう」次第で物事は好転することもあれば、反転することもあります。

師の掛け軸にあるように「晴れてよし 雲りてもよし 富士の山」の心です。晴れても曇っていても富士山の元の姿は変わらないのですが、見る人は周囲に惑わされて本当の姿が見えなくなる時があるので注意が必要だという戒めの言葉です。人も物事も元の姿、つまり本質を見極めなければいけないのです。晴れたらよく見える。曇りの日はよく見えないと思うのではなく、周囲の環境がどうあれ常に本質は変わらないのです。

全ては人の問題に行き当たりますから、その人が本物か偽物かによってつきあい方が違ってくるのです。偽物は人の噂話をする、悪口を言う、ちょっとしたことで不安を感じる、うまく行かない場合は人の責任にするなどの特徴がありますから、曇っていても見抜くことは可能です。本物は悪口を言わない、噂話を広めない、全ては自分の責任にする覚悟があるなどの特徴がありますから、その人とつきあえば分かります。

僕が天風師と出会ったのはその著書によってです。知った時は既にこの世にいない存在だったのですが、21歳か22歳の時に著書に出会いました。その当時も今も価格は変わらず15,000円もする高価な本なので迷いながら「えいっ」と思い切って買ったことを覚えています。

その時、買って読んで本当に良かったと思います。心のもち方、物事も見方が変わったからです。大きな影響を与えてくれた人物が天風師ですから、心から尊敬する方です。その師が残した作品の推敲原稿や掛け軸、生前の写真など、心から感動するものばかり拝見することができたことを感謝しています。

中村天風展示物

師の直筆の「徳隣有」の書も感動ものです。人にとって最も大切な徳は「徳は遠いところにあるのではなくて必ず近くにある」ことを伝えてくれています。出典は「論語」ですが、それを実践した哲人の書の迫力はオリジナル性のある言葉になっています。

師は常に積極思考を言い続けていますが、この積極思考を続けることは難しいと痛感しています。前向きな時は積極思考になりますが、少し落ち込むと積極思考になることはできないからです。本来は平常心を持ちどんな時も積極思考になるべきですが、そうならないことが多くあります。実践によって心身は強くすることができるのですが、その域に達することは容易ではないと感じています。

そんな時、少し忘れかけていた天風思考を思い出すことができたことは、偶然の導きだと感謝するばかりです。必要な時に現れてくれるのは師の存在を知っているからであり、若い時に出会えたことにも再び感謝しています。そのお陰で、常に積極思考であるべきことを自覚することができました。

人は困難に突き当たるほど積極思考でいるべきですが、困難な時に消極思考になってしまいます。そんな時、天風師の若い頃に出会った存在が支えになってくれます。「お前は信念が強くなる」の言葉もありますが、信念を湧き出すことこそ道を切り拓く力になります。

不思議なことに、人は必要な時に必要な人に引き合わせてくれるものです。再び出会えた今日の日に感謝しています。

起業支援と少子化対策

本当に素晴らしい経営者に会う機会をいただきました。10歳代で起業し、一代で全国有数の会社を築き上げた経営者との会合は素晴らしい時間となりました。僕が知っていたこの会社の姿は、ほんの一部に過ぎなかったのです。本業だと思っていた事業は、社長の言葉を借りると「会社全体の5パーセントぐらいの利益を占めているだけです。本当は違う性質を持っている会社です」ということでした。

会社の概要を説明してもらったのですが、事業の多角化を進めていて将来性のある先進的な分野に進出していることが分かりました。起業家への投資も熱心で、投資会社は数千社に及び、東証一部上場している会社も出始めています。

また創業したばかりの起業家一人の会社にも、社長の資質や事業計画で判断して投資を行っています。また社会貢献も盛んで、ボランティアで少子化対策の事業にも参画しています。この分野は完全無料で、人口減少、少子化問題に果敢に挑戦しています。まだこの分野の事業は関西には進出していませんが、社長に「是非、関西、和歌山県でも事業展開して下さい」と依頼を行いました。「この分野での利益は考えていません。少子化対策として取り組んでいるもので、完全ボランティアで取り組んでいます。首都圏では行政の協力を得て展開しているので、和歌山県の行政が本気で考えてくれるのであれば検討します」と話してくれました。

言うまでもなく、少子化対策は和歌山県単独でできることはなく、方法があったとしても和歌山県だけで取り組んでも成果は小さいものになります。だから少子化対策に取り組む意思のある都道府県に参画してもらって全国規模で取り組みをすべきものです。

もっと言うなら少子化対策は一つの都道府県だけが成功するものではなく、取り組む意思のある都道府県が連携して成果があがるものです。この会社のノウハウになりますからこれ以上書くことはしませんが、少子化対策は地方自治体単独ではなく全体で取り組むべき課題です。全体で取り組む以外に解決の方法はありません。

総括すると、この会社グループの事業は多岐に及んでいますが、将来性のある経営者や会社に投資を行い育成することや企業の社会的使命として少子化対策にも取り組んでいます。

社長は「人生も仕事も出会いや情報が左右します。ほとんどの情報はインターネットから集めることができますが、感性はネットで磨くことはできません。感性は色々な経験をして初めて磨かれるものです。人との触れ合いやつながりがダイレクトに起きる場が必要なのです」と話してくれています。

この部門の受付はイタリア人で、更に「ここに集まる人はハーバード大学やコロンビア大学卒業の人が多いです。日本では東大ですね」と語ってくれたように、ここには人材が集まっています。会話では英語が飛び交い、ホワイトボードには英語で議論している様子がうかがえます。外国企業にいるような場面と空気があり、こんな空気のある場所から「人も企業も育っていくんだな」と感じ取ることができました。